徳川幕府が二世芸能人ブームの先駆け?
続いては、親と比べられてかわいそうな二世芸能人を解説。
三浦祐太朗・貴大兄弟の芸能界入りは、徳光さんにとって意外だったそう。
「てっきり、電通とかテレビ局あたりに就職すると思っていたんです。でも、子どもが『芸能界に進みたい』と言ったとき、芸能人の親は断れないですよね。みんな、『芸の道は厳しいから務まらない』ときれい事では言います。
百歩譲って『それでもやりたいって言えば、しょうがないからやらせる』とか。でも、実際は最初に言われたときにたぶん許してますよね。自分に基盤があれば助けてあげられるし、なんだかんだ子どもは可愛いですから」
この関係性に、木久蔵さんは子の立場からこう語る。
「親の活躍を見ているから、やっぱり疼くんです。『自分も可能性を持っているんじゃないか?』って心が騒ぎますよね。徳川幕府だって、徳川家康という最初の人がいるから15代まで持っていけたんですから。親がすごくてそこまで行ったんだから、自分も将軍になりたいって疼きますよね(笑)」
外ヅラがよくないと生きていけない
最後に、いろんな意味で失敗してしまった二世芸能人を解説。
タレントにとって必要なのは「外ヅラ」だと徳光さんは説く。そういう意味で、花田優一は特筆すべき存在だろう。靴職人として苦情が寄せられても、悪評が立っても、どこ吹く風。
「最初、花田君とMatt君って出てきた時期も一緒で、同じ二世として双璧だったじゃないですか。で、Matt君はあの見た目ですから相当色物だったですけど、彼ってすごくいいやつですよね。そこで一気に花田君とゲーム差が開いた気がします。タレントって外ヅラがよくないと生きていけない。でも、花田君はそれすらできないでいる(笑)。
ならば、彼は徹底的なナチュラルヒールキャラで行くのがいちばんいいかもしれないですね。“嫌なやつ”と評判を蔓延させたら、逆に面白いかもしれない。今後、彼がどういう道を歩むのかわからないですけれど、俳優でシリアルキラーの役をやるとか、そういうこともできればいいですよね」(徳光)
●二世芸能人って? その2
「自分が下手を打つと、父が謝ることになりますからね」林家木久蔵さん
「小4くらいから、父のことで学校でいじられるようになったんです。あまりにキツいから『お父さん、座布団10枚とってよ!』と頼んだものの『1枚とるのもやっとだから10枚はさすがに無理』と言われました(笑)」
そんな木久蔵さんも「1度きりの人生」と落語の世界へ飛び込んだ。そして、今は二世にとってつらい時代である。
「二世が何かやらかすと、親が謝って自粛しなきゃいけないですよね。僕は出演してないのに、『笑点』が自粛になったらいたたまれないですよ。(司会の春風亭昇太が)『木久ちゃん、座布団マイナスからスタート!』とか面白くしてくれるならいいけど(笑)。
でも、二世って逃げようがないから信頼はされやすいですね。あと、僕の芸を見たことのない初対面の人に『お父さんの大ファンだよ!』と喜んでもらえたりする。それはそれで、みんなを楽しませる、いい人生だと思っています」
(取材・文/寺西ジャジューカ)