続いて『死亡一時金』。通常、年金事務所に申請する。

「生きていれば、受給できるはずだった年金がもらえなくなった。そういう意味では、今まで支払い続けてきた国民に対する国からの香典と考えてよいかもしれません」

 そのため、国民年金保険料の納付期間によって、もらえる金額が変動する。

「3年以上15年未満は12万円で、最大は35年以上で32万円。一括で支払われます」

夫が亡くなっても遺族が困らないために

 次に『遺族基礎年金』『遺族厚生年金』について。

 国民年金の被保険者は前者、厚生年金の被保険者は後者となる。

年金と聞くと、老後にもらえるお金というイメージですが、老後にもらえる年金の正式名称は『老齢年金』。遺族年金は夫が亡くなって残された遺族に渡される年金です」

 生計の支えとなっていた夫が亡くなっても遺族が困らないようにする制度だ。『遺族基礎年金』は子どもがいる場合のみ支払われるため、ややシビア。

 金額は年78万1700円をベースに子どもの数で加算される。では『遺族厚生年金』はどうなのか──。

「夫がもらう予定だった厚生年金の約4分の3がもらえます。加入期間が短くても25年加入として計算しますが、収入の影響もあり、妻だけなら月5万円未満のことも」

 続いて、『労災保険の遺族(補償)年金』。

「こちらは今までのサポートとは違い、夫が業務中や通勤中に死亡した場合にもらえるお金です。労災保険は企業が加入する義務があり、会社員であればすべての人が対象となります」

 金額は、年金額の受給権者の人数によって変動する。

「例えば、受給権者が1人なら、夫が生きていたらもらえた給与の153日分、4人以上なら245日分のお金を6回に分けて毎年もらえます」

 ただし、場合によっては会社とモメる可能性も。

「例えば、過労が続いていて夫が自宅で亡くなるなど、労働上の事故であったのかどうかは会社と遺族で意見が食い違うこともあります」

 そういった場合は、労働基準監督署に相談しよう。