国産ワクチンに先立ち、今月にも承認申請されようとしているのが治療薬候補のアビガン。審査の結果、有効性や安全性が認められれば、国内3例目のコロナ治療薬が誕生することに。
「政府がアビガンの審査を3週間で終えて、11月中に承認する方向で計画しているという報道がありました。それが本当なら形ばかりの審査になってしまいかねません」
とは、前出・植田さん。今年5月には、安倍前首相がアビガンの承認を月内に行うよう厚生労働省に指示したとして、批判を集めた。
「当時は緊急事態宣言が出されていましたし、承認を急いで、国民へ安心感を与える狙いが大きかったのでしょう。幸いなことに、今は死亡率がずいぶん下がってきています。ここは慎重に、きちんと審査すべきです」(植田さん)
柿と緑茶のパワーに注目が集まるワケ
身近な食品を使った「コロナ対策」の研究も話題を集めている。奈良県立医科大学の研究チームが注目するのは、秋の味覚・柿。渋柿を発酵・熟成させた高濃度の“柿タンニン”に、新型コロナウイルスの感染力をなくす効果が実験で確認されたという。
植田さんは、「あくまで試験管内での研究。人を対象にしたデータを待たなければなりません」と前置きしながらも、「タンニン自体に抗酸化作用や抗菌力があります」と指摘する。
「有効な濃度の柿タンニンをどうやって日常的に取り入れるのかが、次の課題になってきますよね。例えば、赤ワインなどに含まれる成分のレスベラトロールには、老化を遅らせ寿命を延ばす“サーチュイン遺伝子”を活性化させる働きがありますが、これをワインで取り入れようと思ったら1日に数十本も飲まないといけない。柿タンニンにも、それと同じ問題がいえるのでは?」(植田さん)
奈良医大は特許を出願し、アメやガムなどでの実用化を目指すらしいが、まだ先の話になりそう。
また、緑茶などに含まれる茶カテキンにも注目が。京都府は京都大学と共同で、茶カテキンの新型コロナウイルスへの感染防止効果を確かめる研究を進行中だ。カテキンには抗酸化力や抗菌作用があることから、自民党内では「茶カテキン研究会」を設立し関心を寄せている。
「インフルエンザでは緑茶に予防効果を認める論文がいくつか出ています。この時期、コロナだけでなくインフルエンザも予防しなければなりませんから、身近で取り入れる習慣としてはアリかと思いますね。実際、私も緑茶はいただいてます」(大谷医師)
手洗いやマスクはもちろん、できる対策は万全にして第3波の襲来に備えたい。