自分のケガを何かに役立てたい……その思いで、さまざまな仕事に挑む漢、原田龍二。そんな原田が“大好きな先輩”と慕う俳優・高知東生との対談が実現した。高知は著書『生き直す 私は一人ではない』(青志社)に、壮絶な半生と薬物依存の恐怖を赤裸々に綴り、話題になった。

 ふたりは、再び会えた喜びを噛みしめながら人の道について語り合う─。

◆   ◆   ◆

原田 高知さんとお会いするのは『水戸黄門』で共演させていただいて以来ですね。また、お話しできて本当にうれしいです!

高知 俺もうれしい! ただ、俺もやらかしたけど、原田くんもやらかしたなあ(笑)。

原田 喜ばないでくださいよ!(笑)この連載は間違いを犯した僕が、人生の先輩に“反省”や“人生”についてお聞きするのがテーマなんです。

高知 先輩といわれても、俺の場合は不倫・薬物・ラブホテルのスリーカード。どうしようもないからなあ。

原田 いやいや、やっぱり、いろいろな経験をしている人のお話は説得力がありますし、高知さんにしかできない話がたくさんあると思うんですよ。

高知 俺は道をはずれた人間だから、こんな機会を与えてもらえるとは思ってなかったよ。“俺ら”と言ったら原田くんに失礼かもしれないけど、本当に心強い。失敗を共感してくれる仲間と話ができると思って、今日は心の防弾チョッキを脱げました。

原田 うれしいです!

高知 今日、原田くんがいなかったら、身構えて来るところやった。ありがとう! 対談はこれで終わりでいいよね?

原田 先輩、まだ始まったばっかりですよ!(笑) 僕も大昔、薬物依存の知り合いがいて、薬物依存症の人がどんな状態になるのか見たことがあります。克服するのが難しいイメージですが、高知さんはどうやって抜け出したんですか?

高知 自分ひとりの力では、どうすることもできなかったよ。留置所から出てきて最初の1年間は、財務整理や謝罪に追われて忙しく過ごしていたけど、2年目からはひたすら孤独。執行猶予期間中は外にも出ずに自粛することが「反省」や「償い」をする方法だと思い込んでいたんだよな。

 当時は仲間が支えてくれて、本当にありがたかったけど「これから一生、誰かに頼らなければ生きていけないのか」と考えたら、恐怖しかない。やることもなくて、ただただ孤独。そのうち人に会うのもイヤになって、電話にも出なくなって完全に孤立してしまった。「もう、死んで償うしかないかな……」というところまで自分を追い込んでしまったんやね。

原田 ……(真剣にうなずく)。