芸能人の収入は厳しく
音楽業界はさらに過酷
●テレビから動画配信、上場企業からITへ──
日本のお金持ちが変わっていく
「今、芸能人の収入は厳しい。なぜならテレビ局にお金がないからです」
そうきっぱり言うのは前出・石川さん。
「ネットの台頭で番組になかなかスポンサーがつかない。そうなれば支払われるギャラも減ります」
テレビでよく見ている芸能人が長者番付に公示されていたあのころに比べれば、全くもらえていないという。
それに今年はコロナ禍、タレントの収入は厳しい。
「視聴率を取ってくれるタレントには高額なギャラを支払わなければなりませんが、一方で予算も圧迫している。菅田将暉らよくドラマで見る若手はいますが、人気はあってよく出ていても彼らはそんなにもらえていないでしょう」(前出・同)
音楽業界は、さらに過酷だ。音楽番組もほとんどなければ、音源も売れない。1980年代ごろまでは街中でどこでも流行りの歌謡曲が流れていて、誰もが知っていたという。
「あのころは40万枚売れれば大ヒット、30万枚売れれば3000万人は知っていると言われていました。しかし、いまは買った人しかその曲を知らないという状況がほとんどではないでしょうか」(同)
作詞作曲をしていれば、印税が入るが、そうでないアーティストたちは食べていくのが大変だ。
前出・田淵さんは、
「私自身もユーチューブで配信していますが、いま多くのタレントさんたちが動画配信にも進出しています。娯楽が多様化して、テレビ離れが進んでいることを表しています」
というのもテレビ番組は年配者向けが多く、子どもや若者は離れてしまうことも一因。テレビやラジオ、映画からもっと身近な動画配信へ。歌手やタレントたちの活躍の場もどんどん広がっている。
そんな変化する時代に石川さんはぽつり。
「芸能人を見る私たちの関心も多様化しています。長者番付がもし今あれば、どんな様子を表すのでしょうね」
音楽業界の高額納税者が演歌や歌謡曲の歌手からロックやフォークなどのアーティストに変わった'80年代。
銀幕のスターからバラエティータレント、お笑い芸人たちが台頭してきた'90年代。
さらに、それが司会者へと変わり、再び歌姫たちが甦った'00年代。2020年の今、長者番付はどのような顔を見せているのだろうか。
芸能レポーター。松竹映画宣伝部から女性週刊誌記者を経て、日本テレビで番組のレポーターとなり、以後は芸能界の情報レポーターとして活躍する
税理士ユーチューバー。ヒロ☆総合会計事務所代表税理士。税務や会計のほか、登録者数16万人超の自身のチャンネルで税金のしくみや経営について動画配信