ではなぜ、“国宝級芸能人”が次々と出てくるのだろうか。その背景を芸能ジャーナリストの佐々木博之氏が解説する。

「ただのイケメン、美少女ではもはやキャッチになりません。例えば橋本環奈さんが“1000年に1人”とされ、近年では“美人すぎる○○”などの“〜すぎる”がよく使われたように、これらを冠辞や形容詞として使うことで読者や視聴者の目をより引くねらいがああります。

 同様に、ただの“イケメンランキング”では面白くないので、よりキャッチーな、最上級の言葉はなんだろう、と考えに考えた末に“国宝”が浮かんだ(笑)。しかし、そのまま使うわけにはいかず、それに近い意味で“国宝級”としたのではないでしょうか」

 この『ViVi』が採用した言葉がよほどキャッチーだったのか、トレンドの如く、これに倣(なら)うように各メディアで広く使われたのだろう。

“国民的○○”が量産された背景

 この形容する流れを作ったのは、「おそらくは『国民的美少女コンテスト』も一因」と佐々木氏は続ける。

「それまで“国民的”という言葉は、もともと美空ひばりさんや石原裕次郎さん、長嶋茂雄さんであったりと誰もが知る唯一無二の人物に充てられた形容詞でした。そんな“国民的”に値する、いずれそう呼ばれるようになる女性を選ぶ意味合いもあったのでしょうが、昭和末期に始まった芸能プロ主催のいちコンテストに使われたことでハードルが下がり、同様に広く使われていったように思います」

 たしかに国民的スター、国民的アイドルといった言葉が一般的になった今、“国宝級”も当たり前の表現になるのかもしれない。でも、もはや超えるものはないように思えるけども……。

「もう国内では最高峰ですからね。次は“世界遺産級”のイケメン・美少女が出てくるのでは(笑)?」(佐々木氏)

 紹介される側からすると“ハードル”の上がり方がハンパない。