私が本命だってまだ半分信じている

 そのころの彼女はコロナ禍で大学にも通えず、接するのがホストだけという閉鎖的な空間に身を置かれていた。そんな彼女を夢中にさせるのはホストからしたら赤子の手を捻るように簡単だっただろう。

ゴールデンウイークがソープランドのデビューでした店長に技のレッスンを受けて、彼とも練習したりして、それなりに楽しんでいたんですが、最初のお客さんを見て泣きそうになりましたすごく太った気味の悪い男で汚いし、コロナも怖いし本当に嫌でした

 1人客をとっても1万〜2万円にしかならなかったという。さらに、コロナで客足は遠のき、店だけでは稼げないと判断した彼女はパパ活に励んだという。

1泊2日で10万円とかなんでもしましたよ変な鎖につながれたこともありました。地方に出稼ぎでデリヘル嬢をしたら“コロナうつすな!”と怒鳴られたこともそんなことしてるから大学にはもちろん行けなくて、授業料の口座も解約して借金返済にあてました

 お金がなくて店に長居できないときは、店があるビルの前に座って待っていると、彼がやってきて一緒に私の家に帰る日もありました」

 地方の両親は、彼女が大学を退学したことを知ると激怒。

「やりたいことがある、と言い納得してもらいました。今、私がこんなことになっているとは夢にも思っていないと思います。それは私の中で救いでもあります。彼のウソはわかっているけど会いたいし、私が本命だってまだ半分信じているんです全部終わったら地元に帰って何もなかったように過ごしたい

 取材から2日後、みなまろさんのツイッターアカウントは削除され、連絡がとれなくなった──。

●「借金残高を見ては飛び降りの衝動と闘う毎日」
きこマイマイさん(仮名・24)

「ここ、飛び降りられなくなっちゃったんですよねー」

 ホスト好きの間で“自殺スポット”として有名な歌舞伎町のとあるビル。取材しようと記者が屋上を見上げていると、若い女性が声をかけてきた。

 聞くと、自殺を考えてこの場所に“呼ばれて”きたのだという。このビルにはホストクラブがたくさん入っており、華やかな外観の建物はきらびやかな歌舞伎町でも異彩を放っている。

「公にされているだけで若い女性の身投げが6件以上、'11年には若い女性が身体にライターオイルを浴びて焼身自殺を図った事例もある。昨年5月には、このビルに勤めるホスト男性が客の女性に刺されるという事件も起きました。何かとまがまがしい場所ではあります」(渋井さん)

 その場所に呼ばれてきたと話すのは、きこマイマイさん(仮名・24)。11月の寒い日にもかかわらず、半袖のミニ丈ワンピース姿にムートンブーツといういでたちだ。腕にはリストカット痕が複数あるが、隠す様子もない。