雑誌『プレジデント』のインタビューでは、自らの責任について語っていた。

《周りの人間たちをいかにして生活できる水準に戻すかということを、第一に考えなくちゃいけない》

 歌舞伎界を背負って立つ海老蔵には、この危機を乗り切る秘策があるのだろうか。

「まずは歌舞伎ファンが待ち望んでいる團十郎の襲名披露を成功させることですね。そうすれば、次の大イベントとして“團菊祭”に注目が集まると思います。海老蔵さんも“鬼滅より團菊祭を”と期待を寄せているようです」(前出・スポーツ紙記者)

 團菊祭とは、どういったお祭りなのか。

先代・市川團十郎さん(上)と尾上菊五郎
先代・市川團十郎さん(上)と尾上菊五郎
【写真】市川海老蔵が歌舞伎で『スター・ウォーズ』をやってみた

「團は團十郎、菊は菊五郎を意味します。明治時代に絶大な人気を誇り、近代歌舞伎の確立に貢献したのが九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎。2人の功績を称え、昭和11年から歌舞伎座の五月大歌舞伎が“團菊祭”と呼ばれています。2013年2月に團十郎さんが亡くなったため、そこからは團十郎不在で公演しています」(前出・梨園関係者)

 尾上家は市川家に次ぐ歌舞伎の名門だ。

「現在の当主は七代目尾上菊五郎。江戸気風を漂わせるさっそうとした立役(成年男子)から、端正で上品な女形まで幅広く演じる名優です。奥さんは女優の富司純子さん。長男は歌舞伎役者の尾上菊之助さん、長女は女優の寺島しのぶさんと芸能一家です」(前出・芸能プロ関係者)

海老蔵と菊之助のダブル襲名

 歌舞伎界の双璧がそろう一大イベントだが最近までサプライズを計画していたようだ。

「公演を取り仕切る松竹は、海老蔵さんが襲名した翌年に菊之助さんに菊五郎を襲名させる考えがあったそうです。それで海老蔵さんと菊之助さんの“ダブル襲名”で團菊祭を行おうと企画していましたが、コロナの影響でうやむやになってしまいました」(前出・梨園関係者)

 現役の菊五郎が名跡を譲る可能性はあるのだろうか。

「実現しませんでしたが、十二代目の團十郎さんは、白血病を患っていたこともあり、海老蔵さんに名前を譲って生前に代替わりを考えていました」(同・梨園関係者)