思春期男子とどう関わればいいのか
●共感力を育てる息子との対話5つのコツ
【1】恋人のようにほめる
行為をほめてもらうことで、うれしく感じ、気持ちを理解しあうことの喜びに気づく。
【2】ねぎらう
息子が弱音を吐いたら、まず「つらいよね、大変よね」と気持ちをくんであげて。
【3】感謝する
「生まれてきてくれてありがとう」「大好き」と感謝と愛の言葉を。やさしさが生まれる。
【4】頼る
困ったことがあれば息子に相談をするなど、母は弱い存在であることを示して。
【5】弱音を吐く
ときには子どもの前で泣いてもいい。母がどのように感じているかを想像させて。
●こんなケースはどうすればいい?
(1)最近、学校を休んでひきこもることが……
「いじめなどがなく、本人の問題ならば、まず栄養不足を疑って。栄養が足りないと脳は正常に動かず、だるくてやる気が起きません。脳に不可欠なコレステロールを含む肉・卵・乳製品の摂取を。糖質過多も脳に必要なビタミンB群を消費するので要注意。昼夜逆転の生活もNGです。そして、母親は口うるさくしたり、心配しすぎないように。子どもと過ごす時間を設け、“いつもあなたのそばにいる”ということを示して。母という原点が確立すれば、自然と外へ出ていけるはず」
(2)いつもぼんやりしていて心配です
「外界で刺激を受けた脳は、その入力(経験値)を咀嚼して、センスに変える必要があります。内なる世界観を構築して、発見や発想の能力を高めるためです。脳内を整理する間、外界からいったん脳を遮断するという時間が男性の“ぼんやり”の正体。息子や夫がボーッとしていたら、“頭がよくなっている瞬間”である可能性が高い。脳が必要としている時間なので、そっと見守って」
(3)兄弟がいる場合の育て方は?
「兄弟がいる場合は、兄は1番、弟は2番というふうに序列をしっかり示すといい。男性脳は位置やスペックを確認するので、序列が明確なほうが脳は混乱せず、兄弟ゲンカも少なくなります。また男子は問題解決型の脳を持つので、何かしてほしいことがあったら相談スタイルで話すといい。それに応えようとしっかりしてくるはず。このとき、この相談は兄、この相談は弟と、役割を明確に分けておくと、自分の役割を遂行しようと努力してくれます」
脳科学・人工知能研究者、感性アナリスト。30年以上にわたり人工知能(AI)開発に携わり、脳と言葉の研究を極める。近著『息子のトリセツ』(扶桑社)は、“母も惚れるいい男”に育てるためのコツ満載で話題。
(取材・文/樫野早苗)