「梅原さんとは週に2回ほど会って、世話をしてあげていました。彼女は足が悪く、歩くときは手押し車なので、いつも日用品を届けていました」
2人は逮捕前の1月8日にも会っており、次回は12日に会う約束をしていた。しかし、この日は逮捕当日。自宅を訪ねたがすでに不在だった。
「寂しい人で、友達は私だけ」
Aさんがすべて手助け
Aさんはどんな経緯で詐欺に巻き込まれたのか。
「私は昔、店をやっていて、そこに彼女が来店して出会いました。はじめは大月みやこさんの妹だと言わなかったけれど、店に来ているほかの人から、“彼女は(大月の)妹だ”と聞いていたんです」
容疑者は2年半ほど前に同じ世田谷区内のアパートから現在のマンションに引っ越しており、旧知のAさんは長年世話をしていたという。
「彼女はひとり暮らしで、寂しい人だった。友達は私だけだと思うから、すべて手助けしてきました」
悲しそうな目で話すAさん。
「姉は2人、夫や娘もいたそうです。夫と一緒の写真も見せてくれた。白百合学園の卒業だとか、実家は上野で、幼いころは生活が苦しかったなどと、事細かに聞かされました。今となっては、どこまで本当かわかりませんが……」
そう言って、ため息をつく。
「大月さんの妹だと本人から打ち明けられたのは、最近になってから。よくコンサートに行くと言っていました」
大月みやこは大阪の出身で、ひとりっ子ということは調べればわかりそうなものだが、他人を深く詮索しない性分のAさんは気にしていなかった。
被害内容について聞くと、
「同じように、大月さんの名前を使って投資の話も持ちかけられた。100万円くらいなら、目をつぶりますよ。(被害は)1000万円以上。恐ろしくて金額も言えない……」
卒倒しそうになりながら、声を振り絞った。
ひとり暮らしの高齢者が、なぜこれほど多額の金を必要としたのか疑問だが、別の知人によると、
「何枚もクレジットカードを持っていて、よく高級そうな海鮮食品や健康器具を買っていたみたいですね。移動はいつもタクシーでした」
という証言もあり、浪費癖が身についていたことがうかがえる。
「最近はお金に困っていたようで、お金も貸していた。役所で生活保護の申請も手伝ってあげたのに……」
青ざめた顔で語るAさん。これから夫にすべて打ち明け警察に行くつもりだという。