セルフケアでつなぐ

〈教えてくれたのは〉
伊熊奈美さん ◎美容ジャーナリスト/毛髪診断士。特にヘア関連分野に精通し、執筆活動のほかヘアケア製品開発などにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』1540円/小学館

【つなぎ期間を賢く乗り切ろう】

「大人の女性に髪の悩みに関するアンケートをとると、30代以降すべての年代で『白髪』が1位。悩みの根深さを感じます」(伊熊さん、以下同)

 話題になった“グレイヘア”も素敵に見せるにはハードルが高く、家族の理解も得にくい。白髪染めには、身だしなみのような面もある。全国理美容製造者協会による『サロンユーザー調査2020年版』によると、30〜40代は8割近い人がサロンで髪を染めているのに対し、50〜60代になると自宅で染める人の割合が急上昇する。

「白髪が多くなると染める頻度が増え、サロンより手軽な自宅で染めるように。それでも、新たに伸びてくる白髪染めのルーティンに煩わしさは募りがちです」

 そうした“染め疲れ”をなくすには、日々のケアでつなぎ期間をコントロールするのが得策。白髪用コンシーラーやヘアカラートリートメントを活用すれば、髪や頭皮への負担を最小限にして白髪をカバーできる。

「白髪染めのインターバルに頭皮環境を整えることは、未来の髪につながります。無理なく続く白髪ケアを見つけることが大切です」

【うっかり白髪はちょい染めでカバー】

 お出かけ前や外出先で見つけたチラ見え白髪には、白髪用コンシーラーが便利。手を汚さずに秒速で白髪をカバーできる。

「ここ数年でバリエーションが豊富になった白髪用コンシーラーは、ヘッドの形状や使用感がとても進化しました。白髪の量や部位に合わせて使い分ければ、頭皮につく失敗もなく快適に。メイク感覚で気軽に取り入れられます」

〈白髪が多い・分け目の白髪向け〉
●ファンデーションタイプ

広範囲を一気にカバーするのに最適。エマルジョンタイプは髪になじみやすく、つけると水分が飛んでサラサラになる。
●カラーワックス
色つきのスタイリングワックスは、毛束をつまんで筋状につけるとハイライトのよう。おしゃれに白髪をカバーできる。

〈白髪が少ない・生え際&短い白髪向け〉
●マスカラタイプ

生え際などの細部に便利。ティッシュオフして余分な液体を落とし丁寧に塗るのがコツ。色が合えば、眉用マスカラでもOK。
●コーム型マーカータイプ
頭皮に色がつかないようブラシ部分が工夫されている。つけたい部分の毛束を持ち上げて、表側と裏側から塗ると失敗しない。

【白髪ぼかしにはヘアカラートリートメントが最適】

 髪の表面をコーティングして徐々に色を定着させるヘアカラートリートメントは、髪や頭皮への負担がなく扱いやすいのが魅力。

「ほかの白髪染めと併用しても仕上がりに影響がなく、つなぎのケアにぴったりです。シャンプー後に使う場合は、濡れた髪だと染まりにくいのでタオルドライをしっかりと。なかなか染まらないときは、乾いた髪に塗って温めると色が入りやすくなりますよ」

【白髪にアプローチする成分がある!?】

 白髪への効果が期待される成分として伊熊さんが注目するのは、「ホップ」「ヘマチン」「グレーバースTM」の3つ。

「色素細胞メラノサイトを活性化する、メラニン色素を作る酵素の働きを活性化する、白髪発生要因のメラニンの減少に働きかけるなど、白髪をターゲットにした成分や処方が開発されていて、この先の研究にも関心が高まっています」

(取材・文/中村明子)

※伊熊さんの著書『頭皮がしみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』1540円/小学館 *記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします
すべての写真を見る