〈ふるさと納税〉受け入れ側の順位が激変
思わぬ事情で1年にして順位が激変することもある。その代表格がふるさと納税受入額ランキングだ。ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄付をする制度。寄付の額に応じて、税金が軽減されるほか、お礼の品がもらえることも魅力だ。
●ふるさと納税受入額(ふるさと納税に関する現況調査等2019)
1位 北海道 660.5億円
2位 鹿児島県 311.7億円
3位 佐賀県 266.4億円
4位 宮崎県 264.2億円
5位 大阪府 254.2億円
「2018年までトップだったのは大阪府でした。これは、財政危機に陥っていた大阪府泉佐野市が返礼品を大盤振る舞いすることでふるさと納税を集めまくり、2018年には受入額が497億円にのぼっていたことが大きかったんですね。ところが、こういうやり方が総務省の怒りを買い、やめるよう指導されて……。2019年の受入額は184億円とそれまでの半分以下に落ち込んだのです。その結果、2019年に大阪府は5位に転落」
グルメ特産品が豊富な北海道などが上位に。
〈ふるさと納税〉こまめに寄付するのは都会人
一方、ふるさと納税制度で寄付をする側はどうなっているのだろか。
●ふるさと納税利用者数(ふるさと納税に関する現況調査等2019)
1位 東京都 8万4124.3人
2位 神奈川県 4万2244.9人
3位 大阪府 3万6724.7人
4位 兵庫県 2万1555.9人
5位 愛知県 2万9726.5人
「ふるさと納税を利用している人をみると、都会の人の割合が高くて驚きます。例えば東京都民は人口1万人あたり約60人がふるさと納税しているのに対して、最下位の秋田県民は1万人あたり約10人。6倍もの差がついているわけです。都会に株式売買する人が多いのと同じで、お得情報をしっかりキャッチして実践する、利にさとい人たちが都会に多いのでしょうね。一方、地方の人は、『難しいしめんどくさい』とやりたがらない傾向があります」
ただ、利用者の割合ではなく、控除額(ふるさと納税でトクした平均額)に注目すると、神奈川県や大阪府の順位は下がり、かわりに愛知県や山梨県が存在感をみせる。
「都市部の人が収入の多寡にかかわらず少しでも得するならとしっかり制度を利用している。一方、控除額ランキングで上位の地方勢は、本当のお金持ちはしっかり制度を利用するけれど、そのほかの人は面倒がってやらない……そんな構図が目に浮かびます」