歌番組に出演すればカメラを破壊し、レギュラー出演する『夕焼けニャンニャン』(フジテレビ系)では客と大立ち回り。業界のしがらみに関係なく自分の笑いをぶつける駆け出し芸人と超大御所歌手の接点はどこにあったのか。ひばりさんのひとり息子として石橋たちとの親交をいちばん間近で見てきた、ひばりプロダクションの加藤和也社長によれば、とんねるずに「会ってみたい」と言いだしたのは意外にもひばりさんのほう。

「たまのオフでおふくろが家にいるときは、必ず僕と一緒にテレビを見てくれるんです。中学生だった僕がかじりつくようにして見ていた番組が『夕焼けニャンニャン』。それで、おふくろはとんねるずを知ったんです。“あら、面白い人たちねぇ”って」

「お嬢」「タカ」と呼び合う仲に

 ひばりさんと、石橋たちが初対面したのは'86年。フジテレビのある特番収録で、ひばりさんからの“ご指名”だった。初対面のふたりを、すぐに気に入った。

収録が終わると、貴明と憲武を自分の愛車だったリンカーンに乗せて、赤坂にあるなじみの店へ連れていって。ひばりさん、よっぽど楽しいお酒だったんでしょうね、その日会ったばかりのふたりの前で、生歌を1曲披露したそうですから」(フジテレビ関係者)

 ひばりさんは石橋を「タカ」と呼んだ。そして、自分を「お嬢」と呼ばせた。

「おふくろがリクエストしたんだそうです。おふくろは“生涯歌手”として“時代についていきたい”とずっと思っていましたから。タカさんたちのエネルギーに触れたかったというか、うらやましさもあったのかな」(加藤社長)

 深夜、仕事を終えた石橋たちを、ひばりさんが自宅に招くこともたびたびあった。30以上も年の離れた石橋たちの与太話に、ひばりさんは声をあげて笑った。

「おふくろは、交友関係は広かったですけど、本当のお友達は決して多くはなかった。タカさんたちが年の差も立場も超えて接してくれることが新鮮で、うれしかったんだと思います。人間性に惚れていたんですね」(加藤社長)