そんな中、娘さんは大学を受験し、無事に合格。3月までに入学金や前期の授業料として80万円を納めなければなりません。娘さんが受験勉強を始めるにあたり、真央さんは現夫に「奨学金を借りるから」と念押ししました。大学の学費はすべて奨学金を利用し、最終的には娘さんが返済する約束で受験を許したのです。
現夫のせいで奨学金申請がおじゃんに
奨学金を申し込む際、親と子だけでなく、同居家族の年収を示す書類を提出しなければならず、今回の場合、現夫が該当します。真央さんは当初、現夫の確定申告書を準備するつもりでした。しかし、2月上旬。現夫が突然、「確定申告は待ってくれ!」と言い出したのです。理由は給付金の申請をしたいから。
コロナで苦しむ中小企業、零細事業主に対して支給する給付金はいくつか存在します。昨年、国が支給した100万円(法人は200万円)の持続化給付金とは別に真央さんたちが住んでいる町では、地方自治体が独自の給付金を用意しています。具体的には2020年の各月の売上が前年同月比ですべて50%以上、減少した場合、20万円を支給するという内容。現夫はすでに100万円の持続化給付金を受け取っているのに、さらに20万円の給付金も申請しようとしていたのです。
「さっさと確定申告を終わらせてよね」真央さんはそう頼んだのですが、現夫は知らんぷり。
夫の清掃業は、昨年の売上のうち6月は30万円、7月は40万円。一昨年の6月は25万円、7月は30万円。この2か月は売上が減るどころか、むしろ増えていたのです。当時はコロナによる自粛の影響で家にいる時間が増え、家の中を片づける人が増えた時期。不用品の買取や廃棄、家財の移動などの仕事が舞い込んだので、現夫の仕事は忙しくなり、1件1件の金額は小さいものの、暇を持て余していた一昨年より儲かったのです。しかし、2020年の確定申告をするにあたり、6月の売上を12万円、7月を15万円に書き換えれば20万円を受給することができます。そのため、帳簿や領収書等を修正するのに時間がかかると言うのです。
「私たちは貧乏だけれど、世の中に恥じないように生きてきたのに!」と真央さんは呆れつつ、「その20万円を娘の学費に回してくれるなら、私も考え直したかもしれません」と言います。
現夫に学費のことを伝えると「あいつのパパになった覚えはない!」と言い放ったそうです。確かに現夫と娘さんは養子縁組をしていませんが、真央さんは娘さんに、現夫を父親に接するように教育していました。真央さんは「言っていいことと悪いことがありますよね、しかも娘の前で!」と嘆きますが、現夫の浅はかな企みのせいで真央さんは奨学金を利用できなくなり、急遽、自力で80万円を金策しなければならなくなったのです。
ところで養育費を正式に減額するには親権者の同意もしくは裁判所の決定が必要です。真央さんから相談を受けた筆者は「養育費の不払いについて元旦那さんに何も連絡をしていないんですよね? 裁判所で争ったわけでもないので、月8万円の不足は滞納状態ですよ」と励ましました。具体的には8万円×12か月=96万円。もし96万円を一括で回収することができれば、娘さんの学費を納めることが可能ですが、どうすればいいのでしょうか?