ドラマとしての最大の見どころは、古畑と犯人の攻防である。ミステリーとしては倒叙ものと呼ばれるスタイルで、犯人は最初から明らかになっている。その犯人に対し、古畑が巧みな質問を繰り出し、時には罠を仕掛けながら、犯行を暴いていく。そのスリリングな駆け引きが視聴者を引きつけた。このあたりは、脚本の三谷幸喜の腕が冴え渡る。
また、昨年Season 20に到達し、映画化も決まった『科捜研の女』(テレビ朝日系、1999年放送開始)にも、同じことが言えるだろう。
こちらの主人公は、沢口靖子演じる榊マリコ。刑事ではないが、京都府警科学捜査研究所の研究員だ。『古畑任三郎』が超人的な推理力で事件を解決するとすれば、こちらが頼りにするのは最新の鑑定技術を駆使した科学捜査である。こちらも基本的に1話完結で、毎回異なる事件が起こる。
ただし、『古畑任三郎』とは違い、この『科捜研の女』ではチームで事件解決に当たる。もちろん榊マリコという主人公の魅力もあるが、科学捜査研究所には文書鑑定や映像データなどのプロがいて、全員が協力して解決するところに醍醐味がある。さらに内藤剛志演じる京都府警刑事・土門薫と榊マリコのバディ的な魅力も見逃せない。
2000年代以降を代表する長寿シリーズ『相棒』
そのバディものと言えば、水谷豊主演の『相棒』(テレビ朝日系)が思い浮かぶ。2000年代以降を代表する長寿シリーズと言えば、やはりこの作品だろう。
元々『相棒』が2時間ドラマ枠で始まったことは、ファンであればよく知った事実だろう。2000年から2001年にかけて3作放送され、それが好評だったことから2002年に連続ドラマとなった。冒頭でもふれたように、現在season 19、劇場版は4作目まで制作されている。
『相棒』の長寿シリーズ化の理由も、1つだけではない。まずはやはり、水谷豊演じる主人公・杉下右京の魅力がある。右京は抜群の観察眼と人並外れた推理力で難事件を解決に導く。スコットランドヤードでの研修経験があるなど、そのモデルはシャーロック・ホームズだ。あまり人付き合いがいいとは言えず、皮肉屋なところがあるのもホームズを彷彿とさせる。いずれにしても、右京の鮮やかな謎解きが毎回の見どころだ。