盛り上がりを見せていた「応援上映」

 アイドル界隈では、握手やハイタッチができていない状態が続き、今はオンラインサイン会やお話会として、直接、接触しない方法でファンとのコミュニケーションを行っているという。

「地下アイドルたちは、マスクを着用して透明シートで仕切りを設け、ツーショットチェキを再開しているところもあります。でも、やはり握手など、直接触れることはまだしていません」(同前)

 アイドルの“定番の文化”も封じ込められたままだ。さらに、ある芸能記者は、映画鑑賞の世界にも「失われた文化」があると言う。

映画を見ながら、『がんばれー』とか『最高!』とか叫んだりする“応援上映”が、ずっと行われていないままです。映画の新しい盛り上がり方として定着してきただけに、残念ですね。また館内の飲食も一部解禁されているところもあるようですが、まだまだ全面的に解禁にはなっていません。ポップコーンを頬張りながら映画を観るのは、映画鑑賞の醍醐味のひとつですから、早く元どおりになるといいですね」

 周りに迷惑をかけない程度に、公開映画にちなんだコスプレをして楽しむファン同士の交流を深める、貴重な機会も奪われてしまっている。また、小劇場などでは劇場に足を運んでくれた観客との交流の場がなくなり、こちらも文化が失われた状態が続いているという。

「終演後の出演者との面会や送り出しなどはガイドラインで禁止されています。アンケート記入だけでなく、直接感想のやりとりができる貴重な機会でもあるので、演者、観客どちらにとっても早く再開できるといいと思います」(同前)

 ワクチン接種が開始されたとはいえ、まだまだ先の見えないコロナ禍でのエンタメの楽しみ方。たとえコロナが収束しても、これらの“文化の復活”はあるのだろうか。せっかく定着しつつある文化がなくなるのだけは避けたいところだ。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉