フリーランスの夫の収入が激減
麻衣子さん(仮名・38歳)は、6歳になる息子が今年小学校に入学しました。同じ小学校には、2歳上の学年に娘を通わせています。ずっと専業主婦でしたが、息子の入学を機に、数か月前からファミレスで調理のパートを始めました。
「娘を出産するまでは、クレジットカード会社の営業部で働いていました。正社員だったのですが、コールセンターのマネージャー職になり、スタッフの管理やクレーム対応などに追われ、残業が続きました。仕事をやっていても正当な評価をされなかったこともあり、妊娠を機に退職しました」
有名大学を卒業していた麻衣子さんは、第一子を出産したら正社員として再就職するつもりでした。しかし、時短勤務が条件だったこともあり、希望どおりの再就職ができませんでした。
「このときはまだ30歳だったので、気長に探せば見つかると思っていました。私はひとりっ子だったので、二人目がどうしても欲しかったんです。夫は5歳年上だったので妊活を焦りました。そのため就職を見送って、二人目妊活を始めました」
麻衣子さんの夫は、企業や大学などのPR映像を撮影する映像制作会社に勤めていました。
「夫が勤めていた会社は、中小企業でしたがクライアントに恵まれ、仕事は途絶えることはなかったんです。でも、さらに収入を増やしたいと思った夫は独立して、フリーのディレクターとして映像の仕事を始めたんです」
しかし、麻衣子さんの夫の仕事はコロナ禍のため、撮影自体が何度もキャンセルになってしまいます。
「保育園は働いていないと入園もできないし、待機児童も多い地域。私は二人の子どもの預け先もないため、働きに行くこともできない。子どもが通っている幼稚園は、無償化の対象でもなかったので、お金が出ていくばかりでつらかったです」
同時に麻衣子さんは、周りのママ友の暮らしがうらやましくなったそうです。
「去年は、緊急事態宣言もあって顔を合わす機会が減っていたのですが、ちょうど小学校の入学準備のため、LINEのグループチャットではランドセルの話題で盛り上がったんです。ランドセルにこだわりのあるママたちは、展示会に足を運び、ゴールデンウィークよりも前に購入しているようでした」
今、ランドセル購入のための準備は『ラン活』と呼ばれています。少子化にも関わらず、ランドセル市場にはさまざまなタイプの商品がそろい、にぎわっているようです。