息子はお酒が弱い

 今、自分にできることは何なのか――自問自答する毎日だという。

「私の家族には今、車を運転できる人間がいないんです。私は運転免許を返上してしまったし、主人は今回の事故を聞いて腰を抜かしてしまって、動けなくなってしまった。(息子の)嫁も体調が悪いし、孫は仕事が忙しいみたいだし。被害にあわれた子どもたちのお宅に行って謝ることも、息子の面会にも行けない状態。だからもう、何をどうしたらいいのか、まったくわからなくて……」

 悲痛な母親の叫びである。

 容疑者は昔から手がかからない子どもだったという。

「親バカでしょうけど、反抗期もなくて、親の言うことに絶対にNOは言わない、素直な子でした。息子は運動が得意ではなかったので、高校では吹奏楽部でトランペットをやっていました」

 容疑者は高校卒業後、1年間のアルバイト生活。貯めたお金で、自動車関係の専門学校に通ったという。

「うちは当時、雑貨店のほかガソリンスタンドを経営していて、息子はそこで働いていました。ですが、16年前に経営が悪化して借金を抱えることに……。困っているときに、ガソリンスタンドのお得意さんだったのが、息子の今の勤務先です。“じゃあ、うちへ来ないか”って助けてくれたんです」

 容疑者は運送会社『南武運送』に勤務。都内の建設現場に資材を運び、現場近くにある会社に戻る途中で事故を起こした。

 梅澤容疑者の飲酒について母親は、

「家ではほとんど飲まないんですけどねぇ……。息子はお酒に弱いし。勤務時間は朝6時から昼間の3時ぐらいまで。昼ご飯のときにはもう仕事終わりなので、ついつい飲んでしまったんでしょうか……」

 気のゆるみで取り返しのつかない事故を起こし、幼い命を奪った梅澤容疑者。その母親も加害者の家族となって、絶望の淵に立たされている。