男性教師が女子生徒の下着を確認するケースも
『ブラック校則』(共著)などの著書がある名古屋大学准教授の内田良さんによると、
「学校側には、みんなが多彩な色の服を着用することを認めると、だんだんと生徒の服装が派手になり、しまいには学校の風紀が乱れてしまいかねないという発想がある」
要するに、トラブルの芽は早めに摘んでしまおうというわけである。
「教師が違反に気づいたときだけ指導する学校もある一方、定期的に(シャツの)チェックを行う厳しい学校も中にはあります。ひどいケースだと、男性教師が女子生徒の下着を確認するなんて話も。
生徒のきわめてプライベートな部分に平然と介入し、管理しようとする。人権侵害といえるでしょう」(内田さん)
また今回調査した10校のうち、半分は商業高校や工業高校など専門技術を学ぶ学校が占めた。その中には、こんな意見も……。
下着の色指定を行う工業高校に事情を尋ねると、
「生徒が就活面接に行く際、(赤などの)色のついたシャツを下に着ませんよね。
社会に出て通用する着こなしを身につけるという意味で白シャツを規定していますが、いちいち確認はしませんし、色がついているからといって着替えさせることもしません」
これらの学校は、高校卒業後に進学せず就職する生徒が比較的多いという特徴がある。
だがそもそも、面接に色つきの肌着で臨む非常識な生徒がそんなにいるとは考えにくく、わざわざ校則で縛る意味があるのかは疑問だが……。
マスクの色まで白に限定された
こうした行きすぎた規則は、コロナ禍でも横行した。前出の内田さんによると、
「コロナが流行りだした当初、全国的にはマスクも白に限定する学校が多かった。下着と同じ発想で、例えば薄いピンク色のマスクを着けているだけで指導の対象でした。
マスク不足もあって色つきマスクの着用が広く認められるようになりましたが、それによって風紀が乱れたなんて話は聞いたことがありません」
しかし、近年の都立高校では制服着用を義務づける学校が増えるなど、校則の厳格化は広がる傾向があるという。