結婚後のファン離れに対して福山は?

 2015年に、吹石一恵と結婚。翌年には、子どもも生まれた。“ましゃロス”が騒がれたが、同時にファン離れも進行する。妻や子の話をしないのは、ファン離れを食い止めるためという見方もされてしまうわけだ。

 これは器の大きい男でありたい福山にとっては、不本意なことだろう。ただ、彼は事務所を支える屋台骨的な存在でもある。『紅白』に中継で出演するなどして、維持されてきた福山ブランド。それが損なわれるかもしれない選択は、なるべくしないほうがいい。

 なお、かつて三浦友和は『被写体』という本まで出して、妻子への取材の行きすぎを批判した。こうした骨太な態度に好感を持つ人も多く、芸能人として一目置かれてきたわけだ。が、こうした悩みは結局、時間が解決するものだったりもする。

 三浦は4年前、週刊女性のインタビューで、

変わったのはマスコミですよ。すごく優しくなったし

 と、発言。実はこれ、三浦と妻子への関心が以前ほどではなくなったからでもあるのだ。

 その点、福山もいずれは悩みから解放されそうだが、その前に三浦友和的段階へのステップを踏んだ。これを機に「みんなを愛する」から「妻子を愛する」への転換をしたわけだ。

 このタイミングは悪くない。'16年には、福山ファンでもあったマンションのコンシェルジュが彼らの部屋に侵入、帰宅した吹石と出くわす事件も起きたが、このときだとまだ「妻のため」の発言ということになる。しかし、今回は「妻と子」のための発言だ。このほうが嫉妬も買いにくく、受け入れられやすい。

 そういう意味で、彼には流れを見る目も直感力もある。引き金は怒りだったとしても、そこを賢く利用して、曖昧にしてきた問題に答えを出した印象だ。キレどころもわかっているあたり、30年もイケメンスターをやってきたのはダテじゃない。

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。