オイルのオメガ3は役立たない!?
「その28人は、アンケートで『魚を週に1~2回しか食べない』、または『ほとんど食べない』と答えた人たちです。魚をあまり食べていないと、オメガ3オイルを毎日とっていても健康効果を得られにくいという結果になりました」(地曳さん、以下同)
実はオメガ3脂肪酸とひと口に言ってもおもに3種類ある。血液サラサラ効果で有名なEPA、認知症予防が期待されているDHA、そしてもうひとつがαリノレン酸だ。
アマニ油やえごま油などのオメガ3オイルに含まれているのがそのαリノレン酸。αリノレン酸は私たちの体内でEPAやDHAに変換されることで健康に役立つものになるが、摂取したすべてのαリノレン酸がEPAやDHAになるわけではない。EPAに変換されるのは摂取したαリノレン酸の5~10%前後と少なく、DHAに変換される量はもっと少ない。
さらに、普段の食生活で鉄が不足していたり、糖が過剰だったりすると、変換される量はもっと少なくなり、また個人差も大きいと考えられている。
つまり、毎日一生懸命アマニ油やえごま油を摂取しても、わずかなEPAやDHAしか作り出されないということになる。実際、さきほどの血液検査で、魚を食べていない28人はオメガ3オイルを日常的に摂取しているのに、体内のEPAやDHAの平均値が650人の平均値を下回っていたという。
魚のオメガ3はすぐに役立つ
では、魚はオメガ3オイルと何が違うのか。アマニ油やえごま油と同じように魚はオメガ3が豊富だが、魚に含まれているのはαリノレン酸ではなく、EPAやDHAそのもの。変換する必要がないため、健康面での効率はオメガ3オイルよりはるかにいい。
そのため、魚を週6回以上食べている人はオメガ3オイルをとっていようがいまいが、EPAやDHAの平均値は、650人の平均値を上回っていた。
「ひと昔前の日本人は魚を食べることでEPAやDHAを十分にとれていましたが、食の欧米化で魚を食べる機会が減少しています。これが肌荒れ、アレルギー、動脈硬化などさまざまなトラブルを引き起こす原因になっているので、改善すべきなのは間違いありません。でも、オメガ3が含まれるオイルですべて解決できると考えるのは間違っています。大事なのはオイルだけでなく、魚も食べることなのですが、さきほどの28人のように、オメガ3オイルさえ摂取すれば魚は食べなくてもいいと極端に考える人たちが一定数います。その背景には、マスコミやメーカーの偏った情報の伝え方があるのかもしれません」