こんな親の家が負動産になりやすい!
・田舎・郊外の戸建て
「負動産」の代名詞ともいえるのが、人口の少ない田舎に立つ老朽化した戸建て
・老朽化したマンション
修繕費用が高額なうえ、高齢化で管理費を滞納するなど組合が機能しない場合も。利用しなくても管理費は高額。売り値100万円でも買い手がつかないのはザラ
・リゾートマンション・別荘
不便な立地から敬遠されがち。別荘地は空き家の管理メンテナンスも難しい
・タワーマンション
水害やエレベーターの渋滞など弱点が露呈。都心という立地だけでは売れない
親が元気なうちに家族で話し合う
相続をめぐる家族間の争いが、「売れない」「貸せない」原因をつくることもある。
「親が元気なうちに実家の相続について、家族が集まって話し合いをしておくことが大事です」と藤戸さんはいう。
「相続をめぐるトラブルは、お金持ちだけに起きることではありません。相続争いの4分の3は、遺産総額が5000万円以下のケース。
仲のいい兄弟姉妹だからといって相続争いが起こらないとは限りません。親の面倒を誰が見るか(見てきたか)などによって、それぞれの意見が衝突することもあります」
親が元気なうちに家族会議を開いて、家をどうするかなど、遺産分割について腹を割って話し合っておけば、もめごとを回避することができる。
預金や不動産のリストを作って、家族全員で情報を共有しておくと、実家を「売る」「貸す」などの判断もしやすくなるだろう。
まずは登記や修繕箇所の確認を
「法務局などで実家の登記簿謄本を入手して、権利関係者を確認しておきましょう。名義が自分の親であればいいですが、祖父のままになっていると相続人が増えることになるので厄介。
親が健在であれば相続人たちとも交流があり、登記の名義変更もスムーズにいくかもしれません。早めに動くことが肝心です」
将来、実家を売ったり貸したりしたいと考えている場合は、土地の面積を正確に知っておくことも大切だ。
先祖代々受け継いできた土地は、隣地との境界が曖昧なこともあるので、親が生きているうちにはっきりさせておいたほうがいいだろう。
築年数が古い家やマンションの場合は、配管や水回りなど、修繕が必要な箇所を確認しておくことも忘れずに。親にあらかじめ費用を負担してもらうという選択肢もある。
親が認知症になってからでは手遅れ
予想では、2025年になると65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれている。親が認知症と診断されると、親名義の不動産の売買が困難になり、不動産の処遇などを示しておく遺言書の作成ももはやできなくなる。
しかし、元気な親に遺言書を書いてくれと言うのはさすがに気が引ける。そんな場合は、家族会議の場で親の考えや希望を聞いておこう。
「近年では『家族信託』という制度で、親の財産を家族の誰かの名義にする方法もあります。
家族信託とは、不動産や預貯金などの資産を、信頼できる家族に託して管理や処分を任せる仕組みのことです。
遺言の場合は、親が亡くなるまで遺言書に書いたことを実現できませんが、この制度を利用すれば万が一、親が認知症になった場合でも、受託者である子どもが代わりに不動産を売却することができます」
☆負動産にしないために! 今からできる処分術 <1>親の死後、家をどうするか家族で話し合う <2>登記や修繕箇所などをよくチェックする <3>親が認知症になった場合を想定しておく