小さな結び目で出すのはやめてほしい
ゴミ清掃員を始めて9年。驚くようなゴミに遭遇することもあるという。
「ゴミ袋にそのままお味噌汁が注がれていたことがありますねー。どうして流しに流さずに?ってびっくりしました」
ほかにも、生きたネズミがそのまま入れられていたことや、牛乳パックにトイレの小を詰めて出してくる人も。
「世の中にはいろんな人がいるのを実感しています。液体関係は、清掃車の回転板に挟まると飛び散るので、僕らが悲惨なことになります……」
では「理想的なゴミの出し方」はあるのだろうか。
「袋の口を結ばずに出す人がいますが、中身がでちゃうと、いまはウイルスをぶちまけてしまう可能性もあるので、やめてほしいです。あと、袋にめいっぱいゴミを入れて“どこで持つの?”ってくらい小さな結び目で出す人も(笑)。8割くらいにしてもらって、しっかりと二重に結んで出してほしいですね」
ゴミは出したら終わり、ではない。人は、“顔の見えない相手”のことは想像しにくいけれど、相手のことを知っていると思いやりをもって行動できる。私たちのゴミの向こうに、日々ゴミと格闘している多くの人がいることを想像すれば、少しでも気持ちのいい世の中になりそうだ。
滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)
太田プロダクション所属。西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。'12年に定収入を得るために芸人をやりながらごみ収集会社で働き始める。ごみ清掃員の体験などを発信するTwitterが人気を集め、エッセイ『このゴミは収集できません』など著書多数。'20年には環境省「サステナビリティ広報大使」に就任。
最新刊『日本全国 ごみ清掃員とゴミのちょっといい話』(主婦の友社)
入れ歯を資源として回収する新宿区など、全国の自治体が進めるゴミの工夫をゴミ清掃芸人の視点から紹介。