放送開始から4か月、朝ドラ『おかえりモネ』の菅波先生(坂口健太郎)の人気がここに来て、グイグイと高まっている。
東京で再会したモネこと百音(清原果耶)とゆっくりと、そして確実に紡がれていく恋模様。偏屈で堅物、とにかくそっけなかった菅波先生が、少しずつ変わっていく。
モネが震災時に島にいなかった罪の意識を打ち明けて涙した際には、その痛みに寄り添いたいのに、伸ばした手は背中に触れられず。渡したプレゼントが“なわとび”だったりするなど、ちょっとズレているところも愛らしい。
そしてついにはプロポーズ。菅波先生がその不器用なやさしさを見せるほどに、女性たちの心は……キュン。放送後のSNSには“#俺たちの菅波”が吹き荒れている。
さすが、朝ドラ男子は期待を裏切らないと思わされると同時に、過去の名作の、菅波先生の素敵っぷりに勝るとも劣らない面々も思い出されてくる。
朝ドラは全作品を視聴し、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)などの著書もある田幸和歌子さんに、歴代でも屈指の朝ドラ人気男子を振り返ってもらった。
「家事はしなくていい。2人で一緒に強くなろう」
『ふたりっ子』森山史郎(内野聖陽)
「『おかえりモネ』ではモネの父親として登場している内野聖陽さん(53)ですが、たぶん『JIN-仁-』(TBS系)の坂本龍馬役や『臨場』(テレビ朝日系)など、男臭いイメージを持っている人が多かった中、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)でのケンジ役が素晴らしく、今、改めて内野さんの評価が高まっていると思います。
そんな中、ぜひ見てほしいのが『ふたりっ子』。内野さんという俳優がまだあまり知られていなかった頃で、演じた森山史郎の“インテリメガネ野郎”が、すごくカッコよかったんですよね」(田幸さん、以下同)
『ふたりっ子』('96~'97年)は双子の麗子(菊池麻衣子)と香子(岩崎ひろみ)というWヒロイン。麗子は主婦、香子は女性初のプロ棋士の道を歩み、最高視聴率は31.9%。
「初登場シーンの森山史郎はかなり感じが悪くて。ヒロインが自信満々で対局に挑むも、完膚なきまでに打ちのめされてしまって。それがプロの棋士を志すきっかけとなったというのもいいですよね。“自分をボロ負けさせた相手を打ち破りたい”と本気で将棋に打ち込み、のちに恋心になっていく。
森山史郎は、知的で冷静沈着。そして、ちょっとイヤミな性格で。2人は一度は結婚するんですが、そのときのプロポーズが“一切家事はしなくてもいい。2人で一緒に強くなろう”。すごくいいですよね。たぶん、放送当時よりも今の女性のほうがこのセリフ、響くんじゃないかなと思います」
朝ドラ初の同業夫婦だったが、2人は離婚という道を選択した。