「“木曜日の人権がいらない”って言って、債権者の方に木曜日を差し出している」
(岡野陽一/'21年3月3日放送、フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』にて)
「借金のこと『絆』って呼んでる」
(『相席スタート』・山添寛/'20年12月5日放送、フジテレビ系『さんまのお笑い向上委員会』にて)
「借金とはコツコツ返すものではない 一発当てて返すものである」
(『空気階段』・鈴木もぐら/AbemaTV『しくじり先生 俺みたいになるな!!』にて)
「お金を借りるためなら、僕はクツをなめられるんですけど、岡野さんはクツを食べられる」
(『ザ・マミィ』・酒井貴士/'21年3月3日放送、フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』にて)
“飲む・打つ・買う”――これが芸人としての“華”を生むと考えられていた時代があった。昭和に生まれ、それを見て憧れて芸人の世界に飛び込み、“いいメシ食って、いいトコ住んで、かわいい女性と付き合って……”という理想を掲げて芸を磨いた者たちは少なくなかった。
しかし、時代は変わって令和。“苦痛を笑いのネタにする番組”がBPO(放送倫理・番組向上機構)において審議入りするなど、これまで笑いを誘ってきた行為、表現、エピソードの披露がしづらくなり、“コンプライアンス”ありきで番組作りが始まるような時代になってきている。それは人として、そして時代として真っ当と言える。
そんな時代にあって、“旧世代”の芸人を地で行く、そしてそれを武器に現代のバラエティーに乗り込んでいく芸人が今、増えている。
“クズ芸人”という売り方
冒頭は、そう呼ばれる代表的な芸人である、岡野陽一、『相席スタート』の山添寛、『空気階段』の鈴木もぐら、『ザ・マミィ』の酒井貴士が番組で残した“名(迷)言”だ。彼らは自身の“クズ”エピソードを悪びれることなく披露し、それで笑いを取っている。
「特に岡野さんや鈴木もぐらが当てはまりますが、芸人さんたちはYou Tubeでの活動が非常に大きくなっています。彼らは賞レースでも一定の人気を獲得してきているものの、知名度や露出がそれほどあったわけではない。そんな彼らが“クズ”として注目を浴びたのが芸人さんたちが近頃、非常に頑張っているYouTubeの世界。
宮迫博之さんや中田敦彦さんのような、さまざまな理由で事務所を辞め、YouTubeに主戦場を移した芸人さんたちのようなチャンネルではなく、今も事務所に所属している仲のいい先輩芸人のチャンネルに出演し、その“クズ”っぷりをイジられ、それが視聴者に評価されることで徐々に露出が増えていった印象です」(テレビ誌ライター)