冒頭の男子学生は地方から上京し、スーパーマーケットのレジ打ちのアルバイトを3年続け大学に通っている。時給は1100円。
「僕は働けるだけマシ。飲食店バイトの友人は緊急事態宣言で雇い止めになってしまい、金欠生活を送っている。働かずに大金を得ようなんて間違っている」(男子学生)
バイトで疲れた足を引きずってひとり暮らしの部屋に帰り、スーパーでもらった売れ残りのお惣菜で晩ごはんを食べるのが楽しみだという。
法学部4年の女子学生(22)は、事件発覚前に就職が決まり悪影響を回避できた。
「アメフト部の悪質タックル事件(2018年)に続き、背任事件、脱税……。世間からは“また日大がやらかしたな”と言われてしまう。コロナ禍によってキャンパスを使わなかった側面もあるので、それも考慮して払い込んだ学費の一部を返還してもらいたい」(女子学生)
カフェのバイトは時給1100円。授業がない日は12時間働き、翌日は出かける気力も残らない。
納めた学費が回り回ってその懐に入った疑いが持たれている田中容疑者に対し、多くの学生が嫌悪感を示す。
理工学部1年の男子学生(19)はこう話す。
「学費を返して」 保護者がブチギレ
「高い学費を払っているのに、そういうことに使っていたのかと親は憤慨していますね。“学費を返してもらえ”って。僕に言われても困りますが、そう言いたくなる親の気持ちは理解できる」
日大が公表しているデータによると、理工学部(数学科以外)の初年度学費は、入学金、授業料、実験実習料、施設設備資金、後援会費、校友会準会員年会費を合わせ177万円。卒業までの4年間で計630万円になる。ちなみに法学部は4年間計438万円で、学問を究めるために捻出した金が容疑者の懐に還流していたとすれば怒りが込み上げて当然だろう。
「納税は国民の義務ですよ。みんな苦労して納めているのに、脱税の疑いをかけられるなんて恥ずかしい」
と先の男子学生。バイトを掛け持ちし、塾講師は1コマ1750円(80分)、スーパーのレジ打ちは時給1100円。1日立ちっぱなしで「ひざにきて動けなくなる」という。