一躍時の人となった母親を少年時代の榎本被告はどのように見つめていたのか。前出・大谷さんは推測を述べた。

「彼は政治の世界に入ったことが間違いだった。『蜂の一刺しの息子』と言われ続けてきて精神的な負担も大きかったのではないでしょうか」

 そんな榎本被告を支えたのが父・敏夫さん。

「演説会に行くといつも敏夫さんは後援者を回って“息子のことをよろしくお願いします”って頭を下げていました。彼がちゃんと治療をし、戻ってきたら支えたい。まだ若いしやり直せる」(後援者の男性)

 親子そろってお騒がせの榎本被告。だが、母親の一刺しは息子に影響を及ぼしていたのかもしれない。

 度重なる不祥事。『お騒がせ議員』は現在、増えているのだろうか。

政治家の出来が悪いのは今に始まったわけじゃない。有権者がいいかげんなやつに1票入れたおかげで議会は大変なことになった。だから1票の行き先を見極め、その重みに改めて気づくための機会だともいえるんですよ」(前出・大谷さん、以下同)

 なにより『お騒がせ議員』たちを選んだのは紛れもない私たち有権者だ。

「特に父親らの地盤を継いでも別の場所に住んでいる2世、3世議員や選挙区に血縁・地縁がなくても党の方針で投入され立候補した人たちは代々、そこに住んでいないので自分が何かやらかしたら地元に顔向けできないって気持ちはない。

 国会議員だけでなく、地方議員に対しても私たちは厳しい目を向けていかなければならない。来年は参院選、統一地方選も続くので候補者をしっかりと見てほしいですね」

当選無効騒動の議員はいま

「いつでも見られているプレッシャーはあります」

 昨年の東京都知事選挙に出馬、特攻服で踊ったり、歌ったり。ど派手な選挙活動で世間の注目を集めた埼玉・戸田市議のスーパークレイジー君(本名・西本誠)議員。候補者の中でも際立つ選挙戦の様子はSNSなどで拡散され、知名度は一気に全国区へ広がった。今年1月の埼玉・戸田市議選では初当選を果たした。

「市内のどこに行っても声をかけられるので、いつも自分の行動や言動は見られている、と意識していますね。いい意味でも悪い意味でもプレッシャーになっています」

 そう説明するのはスーパークレイジー君議員。特に若者からも多くの注目を集め、「会いたい」と議会を傍聴する小学生や「市長かと思っていた」と声をかけてくる若者も後を絶たない。子どもたちや政治に関心がなかった層が興味を持って接してくるというのだ。