不妊治療患者の半分以上が鬱傾向に
西川 46歳でいったん治療をお休みして、47歳から再開したとき、子宮内膜ポリープと子宮内膜炎が見つかったそうですね。
小松 見つかったのはそのときですけど、おそらくずっとあったのだと思います。
西川 子宮内膜の問題は、ここ何年かで反復着床不全といって、クローズアップされてきています。妊娠の成否について、内膜の状態が30%関わっていると。
小松 結構な確率ですね。
西川 高齢になれば、卵子の質の比重が高くなりますけどね。でも、戻す子宮をベストの状態にして戻すほうがいいですから。
小松 本当にそう思います。
西川 妊娠しやすい状態をつくることは、非常に大切だと思います。うちのクリニックでも、2~3回受精卵を戻して結果が出なかったら、内膜についての検査をしているんです。小松さんは流産や子宮内膜炎など、7年間、不妊治療をされてきて、いろいろとつらいことを経験されていますね。
小松 つらい……という感じは自分でそんなにないんですよ。採卵のときも、麻酔なしでもそんなに痛みを感じませんでしたし(笑)。
西川 フィジカル的な感覚もですが、不妊治療をされている方は、半分以上が鬱傾向になられるんですよ。そういうのはなかったですか?
小松 まったくなかったと思います(笑)。何か、すべてを楽しんでいた感じです。採卵されるときもたくさんの機械に囲まれて、モニターを見ているのも面白かったし、看護師さんや検査技師さんが一生懸命やってくださっているのを見ているのが、すごく面白かったなと。
西川 すごくポジティブですね(笑)。
小松 だって、こういった治療を受けなければ、絶対に知らない世界じゃないですか。
西川 その性格も、ある意味治療を頑張れた理由のひとつかもしれませんね。
小松 ありがとうございます(笑)。
西川 最後に、40代で小松さんと同じように治療を頑張っている人にメッセージをいただけますか?
小松 やれるところまでやったと思えるまで続けるほうがいいと思います。アドバイスになっているかわかりませんが、誰に言われても、やめたくないものはやめられないですし。
ご本人の性格もあると思いますが、やり切ったと思えるなら後悔はしないと思います。
西川吉伸(にしかわ・よしのぶ)……西川婦人科内科クリニック院長。医学博士。医療法人西恵会理事、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会会員、日本受精着床学会会員、大阪産婦人科医会代議員ほか
《取材・文/蒔田稔》