肌トラブルを招く危険な“混ぜテク”
ここからは具体的にネット上で見つかった“混ぜ合わせレシピ”について検証していこう。まず気になるのが、化粧水や美容液にスキンオイルを混ぜて使用する方法。ある美容情報サイトでは「保湿効果や浸透力アップ」と謳われているが……。
「そもそも水と油は混ざり合わないので、あまり意味のない方法だと思います。保湿剤として化粧水を使って、保護剤としてオイルやクリームでフタをするというのが保湿の基本の考え方。それを混ぜ合わせても効果が上がるとは考えにくく、むしろ保湿剤の肌への浸透を油分が阻害することにもなりかねません」
ファンデーションにオイルを混ぜて使用する方法もベースメイクテクとしてよく見かけるが、どうなのだろうか。
「ファンデーションというのは、油性の基剤に水分や顔料を混ぜてつくられていますよね。そういう繊細な配合比で完成している商品にさらにオイルを混ぜることで、使用感が悪くなったり、ファンデーションの水分が分離して化粧崩れしやすくなる可能性があります。
また、オイルにもファンデーションにも防腐剤が入っていて、その微妙な配合が変わってしまうことで化粧品自体が劣化や変質しやすくなり、それを使うことが肌荒れや皮膚トラブルの要因になる場合もあります」
ほかにも、化粧品の混ぜテクでもよく使われるオイルだが、使用する際には注意が必要だと豊田先生は付け足す。
「抗酸化作用が比較的強いといわれるオイルもありますが、基本的にオイルは非常に酸化しやすいもの。特に紫外線によって、肌に悪影響を及ぼす過酸化脂質に変化します。毛穴の黒ずみや、くすみ、シミの原因になることもあるため、なんにでもオイルを混ぜることは避けたほうがいいでしょうね」
異なる色のファンデーションやコスメ同士を混ぜ合わせて自分好みの色をつくるというのも、よくある化粧テクニックのひとつだが……。
「これもやはり化粧品の成分比が変わってしまう可能性がありえます。一般的な商品は基本は単体で使うことが前提なので、混ぜたときにどうなるかということまではテストされていません。
好みの色をつくることも化粧の楽しさかもしれませんが、その結果、肌トラブルが生じたり、微妙な混色で顔色がくすんで見えてしまったりするのは本末転倒ですよね」
クリームや化粧水、乳液に日焼け止めを混ぜる方法もネット上で多く見られた。冬場とはいえ紫外線が気になる人は多いが、このような使用法はどうなのだろうか。
「クリームタイプの日焼け止めと乳液なら形状も似ているので、手っ取り早く混ぜて使ってしまう人もいるようですが、実際にこのパターンで肌荒れを起こして来院する患者さんも多いです。また、肌トラブルにはならなくても、日焼け止めの効果がきちんと発揮されるかは疑問が残ります。
自分ではきちんと混ぜたつもりでも、実際にはムラになっていて紫外線を通してしまうこともあります」