「思ったより緊張しませんでした。お酒を1杯入れてから行ったのもあるし、いろんな人がいて自分に注目が集まらないのもありました。立っているとホストやホームレス風の人など多くの男性が声をかけにきます。また、私が声をかけなくてもおじさんの方から声をかけてくれたので、最初の1回目はその中でまぁまぁ悪くなさそうな人を選んでホテルに行きました。1回2万円もらっていて、1日6万円が目標です」
淡々と話す三村さんだが、なぜそんなにお金が欲しいのだろうか。
「女教師さんと同じ“推し活”での借金です。給料日が毎月10日で、支払いが毎月27日なので、給料日まで返済を待ってもらっていました。借金を返済すると、口座に現金がなくなるので、カードを使っちゃう。それがまた払えなくなる、、、の繰り返しで。
私の推しはK-POPグループ。推しに迷惑をかけたくないので、名前は言いません。推しグループには12月生まれが2人いるんです。うち1人は1番人気のメンバーなので生誕祭もド派手にやります。推しに惨めな思いはして欲しくないので、ファン同士で広告を出したりとかそういった活動に、イベントがある月はざっと30万円かかります。さらに限定グッズを買ったり、海外遠征も含めたら月100万円あっても足りない。先ほど言いましたが来月は推しの生誕祭なので1か月前の今(取材時は11月)からお金を貯めておかないと」
電車で1時間半かけて歌舞伎町に“通勤”
そのとき、同行していた編集者が“そんなことで(身体を売るのか)”とつぶやいた。すると三村さんは身を乗り出し、
「そんなことってなんですか?! 私にとって推しはすべてです。身体を捧げる価値のある相手です。自分の価値観で判断しないでください」
と、感情をあらわにした。続けて、
「推しは彼氏であり子ども。恥ずかしい思いをさせられないんです」
と、語気を強めた。編集者は謝罪し、改めて推し活にかかる費用を聞くと、
「コロナ禍でライブが開催されなかったから今年(2021年)はほとんど使っていないです。コロナ前は給料日後の週末は韓国に行っていましたね。何するわけでもないのですが同じ国で同じ空気を吸いたいという気持ち。あと推しが身につけているものと同じブランドアイテムを買ったり。推しはハイブランドを身につけることが多いので、月に30万円はやっぱり使っていたかな」
三村さんの毎月の手取りでは足りずに、マイナス分はボーナスに繰り越していたという。
副業は本業に影響を及ぼさないのだろうか。
「大丈夫ですよ。地元から歌舞伎町まで電車で1時間半かかるので金・土しか私は立っていません。金曜日は20時から23時までの3時間、土曜日は昼12時くらいから夜20時くらいまでいますね。目標の金額に達成したら帰ります。金曜日に達成できなかった場合は土曜日に多くお客をとっています。おかげでノルマの週12万円を稼げています」
怖くはないのだろうか。
「慣れました。ネットでの出会いと違い、直接顔を見て交渉するので変な人は勘が働くというか。怖いのは客の振りをした私服警察官ですね。それだけは気をつけています。ただ取材を受けたので今後は出勤日時は変えますけど(笑)」