明らかにされていない“NGワード”
しかし、この年末に5ちゃんねるで起こったことは……。5ちゃんねる利用者が語る。
「年末に5ちゃんで“天皇”と“安倍”が書き込めなくなりました。一部の板で急に“書き込み禁止”のワードとなったようです。
私が見ていたのは『実況板』というテレビなどを見ながら、その番組の感想を書き込みし合う掲示板です。試しに“天皇”と書き込もうとしたら、《ERROR:しばらくお断りしております》の画面が表示され、書き込むことができませんでした。私自身はいわゆる荒らしとなるような行為はしていません。
荒らしに認定されたら、一切の書き込みができなくなるわけですが、ネット環境を変えずにこれらのワード以外は普通に書き込めていたので、“このワードがNG”とわかり、不思議に思いました。書き込めなかったのは私が見ていた実況板などの一部の掲示板で、変わらず書き込めるところもありました。
何か“政治的”な意味合いを感じさせるワードが書き込めなかったわけですが、自分はこのような政治方面の話題に興味がないので、彼らの誹謗中傷、叩きなどをおこなうようなことは一切していません。興味がないので……(苦笑)。これらのワードが書き込めなくなったということを知り、実験的にこのとき“天皇”と書き込もうとはしましたが」
なぜ天皇や元首相を表するワードが書き込めなくなったのか。
「5ちゃんねるは規制の対象となる行為のすべてを明らかにしているわけではありません。書き込みNGワードは個別の板ごとに設定されていると予想されます」
そう話すのはITジャーナリストの三上洋さん。
「5ちゃんねるのNGワード設定のほとんどは荒らし対策です。それらのNGワードは“コレ”と明らかにされていません」(三上さん、以下同)
NGワードを明らかにすれば、それを使おうとする者がいなくなるのではないか。
「おそらくNGワードを明らかにしてしまえば、例えばNGとなる単語の間にスペースを入れる、一部をアルファベットにするなどで、実質“その言葉”を書き込める対策をとられる。そのため荒らしを行う者に対し、NGワードを明らかにするというのは良いことにならないのです。荒らしを増やさないためですね」
今回、天皇などが書き込めなくなったのはなぜか。その“意図”は――。
「規制を明らかにしていないのであくまで予測になりますが、いちばん濃厚なのは、5ちゃんねる側が何か政治的な意図をもってNGにしているわけではないことです。荒らしをする人が、“天皇”もしくは“安倍”という言葉を使って荒らしをすることが多く、その荒らしをさせないためにNGワードにしているのではないかと考えます。
荒らし行為への対応としましては、このようなNGワードを設定する規制ではなく、IPアドレスによっておこなうことが一般的です。特定のIPアドレスからそのプロバイダごと書き込みNGにするというのが、2ちゃんねる時代からとられている規制の方法。それをしない理由は例えばIPアドレスを変更できるような荒らしがいて、その対策としてNGワードを設ける必要性ができてしまっているのかもしれません」
何はともあれ、天皇陛下に対してでも、政治家に対してでも、もちろん一般人に対してでも、誹謗中傷などの荒らし行為は、ダメ。ゼッタイ。