親と子に寄り添う夜間保育

 子どもたちにとっては自宅よりも長く過ごす場所。そのため、なるべく家庭のように過ごせることを目指す。

「夜間保育というと“夜遊ばせているの?”と誤解されることもあります。ですが子どもたちの生活が夜に偏らないよう、生活リズムを守るためにはどうしたらいいのかを念頭に置き保育をしています」

 夕食後は時間を決めてテレビを見たり、パズルやゲーム、本を読み聞かせたりしてゆっくりするという。

 異なる年齢の園児が一緒に過ごせるのも夜間保育園のよさ。年上の子が下の子の面倒を見るなど、ひとりっ子の家庭の保護者からは貴重な時間だと喜ばれることも。

 さらに同園は昼の保育園も併設しており、夜間の3~5歳のクラスの園児は日中、昼の同年齢のクラスに合流。夕方、帰ってくる。

子どもによっては寝て待つ子も。各家庭の生活リズムによって異なる(画像はイメージです)
子どもによっては寝て待つ子も。各家庭の生活リズムによって異なる(画像はイメージです)
【写真】自宅のようなアットホームな造りの「キッズタウンうきま夜間保育園」

「合奏や大人数での遊びなど夜間の少人数ではなかなか経験できないこともあります。子どもたちは日中経験したことを今度は夜間保育でも披露してくれるんです」

 例えば昼のクラスでクリスマス会をした夜間の園児たちは、今度はさらに小さな子どもたちを招いて『クリスマス会ごっこ』する。

「“夜間のクリスマス会をする”と子どもたちが企画して、保育室を一緒に飾り付け、年上の子たちが年下の子に歌や合奏を披露、子どもたちがお話の読み聞かせをすることもありました」

 家族やきょうだいのような強い絆で結ばれているのだ。

「私たちは決して親御さんの代わりにはなれません。親にとっても子どもにとってもお互いがいちばん。子どもたちは本当は寂しさを抱えていたとしても、子どもたちはそれを見せないように頑張っているのかもしれません。

 だから私たちは親御さんのお迎えまでを安心して一緒に待っていられる人であるといいな、と思っています」

 夜間保育を利用する家庭は決して多くはない。だが必要としている人がいる。今日も夜間保育園は親と子に寄り添ってくれている。

キッズタウンうきま夜間保育園 小林美樹さん●鳥取県米子市に本部のある社会福祉法人こうほうえんが運営。夜間保育園には現在0歳から6歳の25名が在籍している。そのほか都内8か所でも保育園や高齢者施設などを運営している。

家族のニーズに寄り添う都会の駆け込み寺
ラブクローバー(東京・世田谷区)

 東京・世田谷区のラブクローバー。運営は24時間365日。月決めの園児だけでなく、急な一時保育でも0歳から12歳までを受け入れる。

「この年末年始は12月31日まで予約があり、新年は急な予約にも対応できるよう待機していました。冬休みになる夜間保育園も多いのでうちで預かることも。

 ただ24時間フルで開けているわけではなく、予約が入ったところに職員を配置。急な要請でも受け入れができるのが私たちの強み」

 そう説明するのは同園代表の富澤志保さん。

 以前は元日から泊まりの預かりもあったというが、コロナ禍で予約は流動的になった。

「緊急事態宣言下で働き方の変化もあり、保護者も年末年始を休める方が増えた印象があり、ここ2年はゆったりとしたお正月を過ごしていますね」(富澤さん、以下同)