《セックスをする人が二人いる》
吉田 視聴者の方のコメントも届いています(編集部注:本イベントはオンラインで質問が集められた。「争わないでいい人同士が争うこと」についての質問を読んで)。立場が反対の人と争う以前に、思想が近いだけに違いが際立って、その違いが許せず、いわゆる内ゲバ的なことが起きるのはよくありますよね。その結果、リベラルな人たちが手を組んで保守の人たちと闘うというよりは、リベラル内の争いになってしまう。
石川 むずかしいですね。リベラルな考えの人たちって、ひとりひとりの違いを大事にすることが多いじゃないですか。そうなると、どうしても保守の人たちみたいにまとまれない部分というのが、そもそもあるから。私は争うことがそんな悪いことじゃないって思っていて。選挙のときに協力したいと思うから、普段は仲悪くても、目的があるときは好き嫌い関係なくパッと集まって、終わったら別れるっていう関係がいちばんいいのかなって思う。喧嘩するときは喧嘩して、一緒にやるときはやって、くらいのほうがいいんじゃないのかなって。
吉田 「石川さんの印象がだいぶ変わりました」というコメントも届いていますね。
石川 それってTwitterでの印象と比べてということですか?
吉田 でしょうね。
石川 Twitterは失礼なことをする人に対して言っていたので、普通に話してくる人に対していきなり怒ることはしないです。現実的な人間関係で怒ったりすることは、ほぼないですよ。喧嘩することについては本にも書きましたが、必要なときもあると思います。
吉田 ボク、まったく喧嘩しないタイプなんです。
石川 確かに(笑)。それは喧嘩せずに解決するからですか?
吉田 怒りの感情が致命的にないんです。だからと言って舐められたら損だから、怒らず、舐められないスタンスで生きてますけど、あんまり平和でもよくないんですよね?
石川 わざわざ怒る必要はないんじゃないですか。
吉田 熱くなっている相手に怒られることがありますね。「こっちは本気で考えているのに!」って(笑)。石川さんは怒りたいんですか?
石川 私は怒りたいです(笑)。怒るべきときは、怒りたい。
吉田 本の話に戻りますけど、書き出しは結構ショッキングな感じでしたね。
石川 そうでしたか?
吉田 第一章の一行目から《私には現在、セックスをする人が二人いる》から始まるっていうのはインパクトありますよ。
石川 これを最初にもってきたのは編集さんですけど(笑)。私の印象ですが、フェミニストの人たちがあんまり自分のセックスを語ることが多くはないかなって。でも、#KuTooの話のように、自分の普段の生活とフェミニズムがつながっているっていうのを知ってもらいたくて。それで、自分のそういうセックスや恋愛のことはけっこう書いたかな。