ヒットの鍵は地道な努力
「弊社はさまざまなメーカーの商品を取り扱っているため、取引先とかぶらない、ほかと違う商品展開が求められていました。そこでニーズの隙間を縫うようなニッチなアイテムを企画していったんです」
ちなみに最初に誕生したのがシャンプーハット。これもピップが考案したものということはあまり知られていない。
そしてピップエレキバン。今では肩コリ改善におなじみのアイテムだが、発売直後は知名度は低く、売り上げは伸びなかった。そのため、営業マンが小売店を一店一店、回り、売り込んでいった。
「売れないからと商品を撤退させるのではなく、せっかく作ったものはあきらめずに育成していこうという気持ちだったそうです。そしてもっと世の中の人にその存在を知ってもらうことが必要では、との結論に至りました」
名物会長と樹木希林さん
'73年、最初のテレビCMが放送された。'77年に故・横矢勲会長が自ら出演し、商品をPRしたCMが大ウケした。
内容は横矢氏がエレキバンの箱を持って机に座り「ピップエレキバン!」と言うシンプルなもの。だが、素人っぽさや横矢氏のコミカルな動きが視聴者に響いた。
さらに横矢氏が女優の故・樹木希林さん(享年75)や故・藤村俊二さん(享年82)らとも共演したCMは軒並み大人気。商品の知名度はアップし、売り上げにつながった。
特に樹木さんは出演期間が長く'79年〜'96年までの登場。横矢氏とのコンビはシリーズとなり、どのCMも話題に。中でも「この、しぶとさが会社を繁栄させるワケですね」との樹木さんが横矢氏に言ったセリフは当時の流行語にもなったほどだ。
'86年4月、横矢氏は82歳で死去。告別式で同氏を偲び、樹木さんが弔辞を読み上げた。