「僕が瞳ちゃんについていくから!」
恵中さんが千とせ師匠の“弟子”となったのは2021年の9月ごろ。
「ちょうど『アウト・デラックス』(フジテレビ系)に出演したころのことです。松鶴家一門の定例公演に出演した際、『今日から君を弟子にする!』と。師匠にはそんな感じで決めたお弟子さんが200名以上いるそうで、基本的には“松鶴家”の名字をいただくんですね。
でも私の場合『松鶴家瞳はなんかおかしいし、もうその名前で売れているから、瞳ちゃんは“恵中瞳”のまんまでいいや』と。
そして、『もう一度、なんとかブレイクしたいんだよね。でも瞳ちゃんの方が売れているから、僕が瞳ちゃんについていくから!』ともおっしゃっていました。私には荷が重すぎる言葉でした……」
とはいえ、二人は強力なタッグを実現させる。前述のようにデュエット曲シングル『CH列車で行こう!』『キャンユーアンダースタンド?』をリリース。“期待のデュオ”として、各メディアに取り上げられた。
「千とせ師匠はとても楽しそうでした。『紅白、目指そうね』って。でも、取材を受けた際、すごく心のこもった声で記者さんたちに“瞳を、これからよろしくお願いしますよ”とおっしゃっていて。それを、今になって思うと……」
師匠の遺志を汲み、2月27日の舞台に出演する予定だという恵中さん。
「亡くなる直前、病室の師匠は松鶴家千代八さんをそばに呼び、“27日の舞台であのデュエット曲を絶対やってくれ”とおっしゃったそうです。師匠がそんなに肩入れしてくれていたなんて……。私がこれからも歌い続けることが、師匠の弟子としての務めだと思います」
恵中さんがこれからも話題を振りまくことこそが、師匠への一番の手向けだろう。
【プロフィール】
恵中瞳 えなか・ひとみ 宮城県出身。歌手、モデル。2013年にデビュー、現在の事務所である南雲堂に移籍後、2015年に『おとこはアリャリャ』でCDデビュー。ライブや動画配信番組などで活躍中。Twitterアカウント: @t75147828
(取材・文/木原みぎわ)