便利さの裏側のリスクを知って「適度に使う」

※写真はイメージです
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「昔ながらの製法」と銘打って、いかにも高級感を醸す「つゆ」に、発がん性物質が含まれる可能性がある。

 原材料を見てみると、確かにかつお節やにぼしを使っているのだが、添加物に先ほどの「調味料(アミノ酸)」に加えて「カラメル色素」が使われている。

「カラメル色素は特に注意したい添加物のひとつ。カラメル色素にはI~IVの4種類がありますが、そのうちのIIIとIVには発がん性物質が含まれています。しかし表示には『カラメル色素』とだけ書けばいいので、4つのうちのどれが使われているかはわからない」

 健康に気を使ったつもりで高級な製品を使っていたものの、発がん性物質を摂取していた……なんてことになっては本末転倒だ。

「注意したい調味料はまだまだある」

 と渡辺さんは言う。例えばチューブのわさび。

「あるメーカーのチューブわさびにはミョウバンが使われています。これは多量に摂取すると嘔吐や下痢などを引き起こすことがある。また、ミョウバンに含まれるアルミニウムは、動物実験で神経系に悪影響を与えることがわかっていて、肝臓や腎臓への悪影響も懸念されています」

 この添加物の動物実験、検証されるのは動物への影響のみ。人間への影響は定かではない。

「添加物の安全性は、動物実験だけでは確認できません。なにしろ人間が感じる体内の不快感などは動物実験ではわからない。しかも実験で確かめられている添加物はほとんどが1品ずつのみ。複数の添加物を同時に摂取したときの影響については不明」

 チューブ香辛料に含まれている香料には天然香料と合成香料があるが、合成香料の中には毒性の強いものもある。でも香料は具体名が書かれないため、何が入っているかわからず、刺激性の強い合成香料が使われている場合、身体に不調をきたす場合もある。

 だしの素とチューブ香辛料で味つけし、最後にうま味調味料を振りかけるといったおかず、早くてウマいは確かにそうだろうが、これでは愛情と安心の手作りごはんが、知らず知らずのうちに家族の健康を蝕みかねない。

「できる範囲で生の素材を使うことが大切です」

 と渡辺さん。

「しょうがはすりおろしたものを冷凍して保存して使う。和風顆粒だしを使う頻度を減らし、昆布などでだしをとってみる、といった工夫だ。もしそれも難しいなら、せめて無添加のものや、添加物が少ないものを選ぶといいですね」

 お金で得られる便利さや、快適さに潜む「リスク」に気づかないまま時短という言葉につられて「命という時間まで短く」しては、元も子もない。

お話を伺ったのは
渡辺雄二さん


 フリーの科学ジャーナリスト。食品・環境・医療・バイオテクノロジーなどの諸問題を消費者の視点で提起し続けている。今年1月に『令和版 食べるなら、どっち!?』(サンクチュアリ出版)を刊行。

取材/オフィス三銃士