素人が業者を名乗り工事もデタラメ……
住田弁護士は前出の恵梨香さんのように「ネットを使い慣れている若い人ほど検索の結果を信じてしまうことも被害を拡大させている要因のひとつと考えられます」と指摘。
「悪徳業者の多くは実際に水道工事なんてやったこともない素人も多いんです。なので工事自体もでたらめ、問題が解決するはずもありません」
そしてトラブルが発生してパニックになっていれば誰でも判断力は鈍る。
「被害者は普通の人ばかり。年齢、性別問わず、あらゆる人が騙される可能性がある」
被害が相次いでいることから住田弁護士は京都府の弁護士とともに「レスキュー商法被害対策京都弁護団」を立ち上げ、相談にあたっている。同様の弁護団の動きは全国でもみられるという。
「相談の半数近くが解決しています。ほぼ全額返ってきたケースが多いです。ただそれは業者と連絡がついた場合の話。業者自体がいなくなり行方がわからなかったり、架空の業者だったりするので解決できていないケースもあります」
現在、同弁護団では低額で工事が可能なようにホームページで表示しながらも、実際には高額な代金を請求した兵庫県の水回り業者に対して、同府の男女12人による集団訴訟も起こした。約660万円の支払いを求め、悪質な業者との闘いが行われている。
住田弁護士らが危惧するのがこの4月からの成人年齢の引き下げだ。
「18歳、19歳も成人とされ、ひとりで契約ができてしまうため、狙われる可能性があると思っています。これまでは10代後半ではひとりで契約できず、仮に契約しても未成年者取り消し制度により取り消せました。今後は10代後半の学生や新社会人らひとり暮らしの人からの被害相談も増えるでしょう。契約と同時にクーリングオフできることも覚えておいてほしいです」
騙されないための対策は?
では、対策をするためにはどうしたらいいのだろうか。
「こうした業者を呼んでしまってからでは被害を防ぐのは非常に難しい。呼ばないためにはどうしたらいいのか、を考えるのがいちばんなんです」
子どもが親元を離れてひとり暮らしを始める際には地震などの災害も含め、水回りや鍵などの緊急時のトラブルの対応などどうしたらいいのか親子で話し合い、信頼できる業者をまとめたリストを用意するのが方法のひとつ。
「それに応急処置として水の元栓を閉めるとか、トイレならラバーカップを用意して置いておくなどの方法も覚えておくといいと思います」
消費生活センターのホットライン『188』に電話して相談することも覚えておきたい。
賃貸住宅の場合、不動産会社や管理会社に相談するのも手なのだが……。
「管理会社がネットで検索してよろしからぬ業者を選んでしまい、騙されるケースもあるんです。悪質業者が管理会社や地場の業者と提携しているケースも出てきています」
若者に限らず、自分は大丈夫、だと思っても知らず知らずのうちに高額な支払いをしてしまうかもしれない……。