また、アントニーさんのCM撮影では、こんな微笑ましいエピソードも。
「“風邪に効く”のシーンを撮影したときのことです。アントニーさんがドアを開けて“風邪に効く”と言うのと同時に、サッカーボールを蹴るジェスチャーをされました。元気になったことをイメージされているのかと思ったのですが、やはり違和感があるので、アントニーさんにジェスチャーの意味を尋ねてみたんです。すると、アントニーさんは“効く”を“Kick”だと思われ、風邪を蹴り飛ばしておられたとのことでした(笑)」
結局、そのジェスチャーは採用されなかったが、撮影現場はなごやかな雰囲気に包まれたという。
「BGMなし」の理由
そしてこのCMのもう一つの特徴といえば、音楽が一切ないこと。CMといえば、BGMがつきものだが、これらCMは「無音」。字幕と音声のみだ。ある意味、かなりシンプルでわかりやすい。
「そうおっしゃっていただけて光栄です。15 秒という限られた時間の中で、視聴者のみなさまにお伝えしたい情報に限定して表現する、という方針で CM を制作しております。
どういった症状に効くか、製品名は何か。どのような効果が得られるかということについて、音声と文字、イメージ画像で表現しますので、BGMはあえて使用しないことにしているんです」
さらに、CM制作にあたっては、こんな「こだわり」も。
「CM は構想の段階から、撮影・ナレーション収録・編集にわたるすべての段階で、視聴者のみなさま、そして弊社の製品を使用してくださるお客様の目線に立って、伝わりやすさやインパクトを突き詰めて、何度も調整を行いながら制作しています。
お薬を使用される方は、少なからずお身体がつらい状況で、さまざまな不安を抱えておられます。弊社の製品を手に取っていただくからには、ご自身の不調に対して安心してご使用いただけるよう、明確に使用目的をパッケージに記載し、それが伝わるということをモットーにしているんです。CM においてもこの考えのもと、社長はじめ社員一同、制作に携わっております」
「風邪に効くゥ!!!」のシンプルかつユニークなCM。たった15秒の映像だが、そこには製薬会社としての思いが秘められていた。流行りや目立つことにとらわれない、今後も“逆に目立つCM”を期待したい。