さらなる節電習慣で家計防衛

出典 資源エネルギー庁広報パンフレット2022年2月号
出典 資源エネルギー庁広報パンフレット2022年2月号
【画像】過去5年で最高値を記録した「電気料金」の前年同月比(東京電力)

 そこにもう1つ、国内事情が拍車をかける。それが「再エネ賦課金」。これも電気料金に忍び込んでいる。国が進める再生可能エネルギーへのシフトにかかる費用の一部を、国民が負担しているのだ。この制度が導入された2012年に、平均家庭でたった57円/月だった再エネ賦課金は、2022年度は897円にまで騰がった。

 政府は2050年の脱炭素社会を目指し、再エネの導入をさらに進めていく方針。つまり再エネ賦課金は今後も値上がりする。「節電意識がこれだけ求められている時代は、昨今、なかったのではないか」と節約アドバイザーの丸山晴美さんは語る。

 丸山さんによれば、いちばんのポイントは「仕組みづくり」。春になり暖房を使わないから一時的に電気代は落ち着くかもしれないが、このあと梅雨時の除湿や初夏からは本格的にエアコンが稼働となる。一軒家で部屋数が多かったりすると「月の電気代が5万円」の事態になることも十分にありうる……いや、恐ろしい。まずは自宅内でできることはないかしっかり見渡すことから始めてみよう。

オトクな制度「東京ゼロエミポイント」

家庭で使っている冷蔵庫やエアコン、給湯器を、省エネ性の高い家電に買い替えると、「東京ゼロエミポイント」がもらえ、商品券やLED割引券に交換できる、という東京都が促進する事業。最大で21000P(LED割引券1000円分+商品券20000円分)がもらえる都民には大変お得な制度。

自宅でできる節電アクション5選

1 省エネ家電へ買い替え

 10年以上使っているエアコン、冷蔵庫、照明などは最新の省エネ家電に買い替えることで、節電することが可能。省エネ家電に買い替えると電気代が何パーセントお得になるのかを算出してくれる「しんきゅうさん」というサイトが便利。照明をLEDライトに変えることで電気使用量は約半分に

2 わが家に合ったプランに切り替え

 ライフスタイルに合った新電力会社を見つけることで、今より電気料金が安くなることも! 丸山さんのおすすめは地方自治体が推進する電気の「地産地消」という取り組み。地域経済の活性化にもつながり一石二鳥なので、自分が住む自治体の新電力について調べてみて。

3 家の中でもマイボトル

 これから夏にかけては冷蔵庫の開閉回数が特に増えがち。マイボトルを1人1個、家庭内でも使用することで、飲み物を取り出す際の開閉回数が減り節電に。また冷蔵庫に直射日光が当たっていたり、壁にくっつきすぎている場合は設置場所を変えると節電に。

4 湿度対策は万全に

 夏場は湿度を下げることで体感温度も下がる。梅雨時季に湿度を下げるには、エアコンの「弱冷房除湿」か冷房を高めの設定温度で使用するとよい。「再熱除湿」という機能だと、電気代が高くなってしまうので注意。ネットなどで今使っているエアコンの除湿機能がどちらのタイプかリサーチ。

5 できることからチリつも節電

・エアコンは扇風機やサーキュレーターと併用
・炊飯器や電気ポットの保温機能は使わない
・カーテンは遮光性の高いものに
・ゴーヤやアサガオで緑のカーテンを作る
・エアコンのフィルターを2週に1回は掃除

監修/松崎のり子
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。著書に『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)ほか。

<取材・文/オフィス三銃士>