目次
Page 1
ー 『金妻』の圧倒的リアル感
Page 2
ー 上戸彩が不倫をするという衝撃
Page 3
ー 水野美紀の「ここにいるよ〜」

 テレビドラマのジャンルの中でも高い人気を誇る不倫ドラマ。最近も篠原涼子と岩田剛典が演じたネットフリックス『金魚妻』が話題になったばかり。夫からDVを受けているタワマン主婦と下町の好青年カップルの禁断の恋を中心に描き、人気ランキングで世界トップ10入りも果たした。地上波でも、夫の浮気相手の息子との恋を描いた『シジュウカラ』(テレビ東京系)が放送され話題に。

 物語の中で描かれる不貞行為は世間では批判される反面、禁断の関係は、いつの時代も世間の興味を惹きつける魅力を持つ。

 そこで、20歳以上の女性1000人を対象に「あなたがハマった不倫ドラマ」をアンケート。はたしてみんなはどの不倫ドラマにハマってしまったのか、気になるランキングは? 

『金妻』の圧倒的リアル感

 年代により選ばれる作品は変わるが、全体で1位をとり、特に50〜60代から圧倒的に支持されたのは、‘83年放送の『金妻』こと『金曜日の妻たちへ』(TBS系)。

『金曜日の妻たちへ』(BSチャンネルWebサイトより)
『金曜日の妻たちへ』(BSチャンネルWebサイトより)

 東京郊外のニュータウンを舞台に、古谷一行といしだあゆみが演じる中原夫妻を軸として、村越夫妻(竜雷太・小川知子)、田村夫妻(泉谷しげる・佐藤友美)の3組の夫婦が不倫によって家族の絆も、仲の良かったお互いの家族同士の関係もバラバラに崩壊していく様子を描いた。人気を集めた本作はシリーズ化され、‘85年に放送されたパート3ではシリーズ最高視聴率23.8%を記録した。

「友達の旦那という狭い環境での不倫にドキドキした」(42歳・大阪府)

「近所の住人同士の不倫と言うのがショッキングだった」(59歳・京都府)

「当時の住宅事情や家族、友人の関係が身近に感じられた」(66歳・千葉県)

 ドラマ解説者の木村隆志さんは「“不倫もの”が市民権を得ていく過程の1作目」と評した上で、ヒットのきっかけをこう分析する。

『金妻』は当時、圧倒的なリアル感を持った作品でした。“自分にも起こるかもしれない”と思わせるドキドキ感で展開を期待させた。大きなインパクトがあったので印象に残っている人が少なくないのでしょう

 続いて2位は‘97年の『失楽園』(日本テレビ系)。

ドラマ版『失楽園』で共演した川島なお美と古谷一行
ドラマ版『失楽園』で共演した川島なお美と古谷一行

 禁断の恋に溺れていく様子を古谷一行と川島なお美が情熱的に演じた。主人公・久木(古谷)と凜子(川島)が京都で初めて結ばれてから、日光での密通、鎌倉での情事、密かに都内にマンションを借りての同棲生活、お互いの家族に絶縁されての離婚、不倫が会社にバレた末の退職……などなど、これでもかというほどのドロドロぶりに視聴者はテレビに釘付け。

「死ぬほど愛してるという驚き」(46歳・北海道)

「不倫という言葉を考えさせられた」(58歳・岐阜県)

「際どい場面が多く印象に残った」(62歳・北海道)

 第4話で通夜の後、川島が「今日は許して……」と抵抗しながらも喪服姿で逢引をする場面など、地上波でありながらハードな濡れ場が多く話題に。日本テレビの月曜22時台のドラマとしては唯一平均視聴率20%を越えた作品で、心中で終わるというショッキングな最終回は、視聴率27.3%を記録した。

 タイトルが「不倫」の代名詞にもなったことで、記憶に残っている人も多い。ちなみに石田純一が「不倫は文化」発言をしたのもこのころ。

この作品は“男のロマン”的な要素がかなり入っています。『金妻』は女性の心情を丁寧に描いている面も多いのですが、『失楽園』は“都合のいい女性と晩年に恋愛をしてみたい”という男性の願望が強く描かれた作品です。それが女性のみのアンケートで上位に入るということは、世間の衝撃は大きかったと言えます。ドラマもですが、役所広司さんと黒木瞳さんが演じた映画の印象が強い人も多い。小説、映画、ドラマと長期間注目され続けた作品です」(木村さん)