えびすじゃっぷとの対談で語っていた“戦略”
自分たちの存在を知らしめたあと、どのようにしてファンを獲得していったのか。こちらについてもこれまでにない珍しい試みをしていたようで、
「複数のYouTuberとのコラボを同時期に行い、相手方のチャンネルで一気に露出を増やしていきました。TikTokでなんとなく見かけた人たちに『いつも見ているYouTuberの動画に出てきたぞ?』と興味を抱かせ、自分たちのチャンネルへと誘導。動画の面白さで登録者数を増やしたというのが初期の戦略でしょう」(すのはら氏)
動画再生数のアベレージが常に高いというのもコムドットを語るうえで外せない要素のひとつ。2021年以降、メインチャンネルにアップされた動画はすべて100万回再生を超えている。なかには1000万回目前の動画も。彼らの動画がここまで支持される理由とは?
「初期のころは他のYouTuberと同じような“面白い企画”を配信していましたが、今では企画そのものよりも、仲良しメンバーの関係性や目標に向かってゆく姿などが垣間見える“日常”を切り取って動画にしているといったイメージでしょうか。いわゆる『プロセスエコノミー』に近い」(すのはら氏)
『日常を切り取り動画にする』とはどういうことか。
「最近の例をひとつ。メンバーのなかで『ミニストップ』の『なめらかプリンパフェ』というスイーツを食べることがブームになり、インスタのストーリーズで日々『美味しい』と発信していた時期がありました。その影響もあったのかはわかりませんが、同じタイミングで“売り切れ続出”してしまったんです。すると彼らは、チームに分かれて、ドライブをしてプリンパフェを探しに行こう! といった内容で動画を出した。そういった日常生活の延長を企画に落とし込んだコンテンツがファンにウケています」(たけち氏)
彼らがアップする動画の1本あたりの分数が“長尺”なことについても触れたい。2022年4月中にアップロードされた動画を見ても、短いもので32分、最長のものは1時間28分と、他のYouTuberと比較してもかなりの長編だ。
その理由についてリーダーのやまとは先輩YouTuber『Evisjap /えびすじゃっぷ』のチャンネルでリーダーのフジと対談し、このように語っている。
《他のYouTuberを見る隙を与えないほど自分達の動画で生活を埋め尽くしたい。それこそ、YouTuberはあんま知らないけどコムドットはめちゃくちゃ見てる、みたいな人をたくさん生み出したくて。動画を長くすることで“おすすめに”載りやすくなって結果的に再生回数もとれるし、多くの人に生活の一部にしてもらうみたいな》
意識的にコンテンツを長尺にするという戦略もYouTube市場とうまく噛み合っているとすのはら氏。
「現在のYoutubeのアルゴリズムでは視聴者の総再生時間を多く積み上げたチャンネルほど、優良なコンテンツと判断され“おすすめ”の欄に上がりやすくなる。結果として再生数も伸びる仕組みがあります。
今やコムドットには固定ファンが何百万人もいます。“どんなに長い動画を出しても最後まで見てくれる層”を獲得できたことが彼らの勝因だと思いますね。そのファンがチャンネルの総再生時間の積み上げをしてくれるので、新規ユーザーにも“おすすめ”されるかたちでリーチできる。その繰り返しの状態に入っています」