では、なぜ令和に18年前のヒット曲『ココロオドル』が選ばれたのか。

「最近は、シーズンに合わせたキャスティングも意識していて、冬なら中島美嘉さん『雪の華』だったり、夏に向けて盛り上がる曲を出すということを行っていました。様々なデータを見ていると、毎年、夏のプレイリストが盛り上がるという傾向があり、その中でもスキップレートが低く、毎年着実に聞かれている曲を選定していた中で、nobodyknows+の名前が挙がったことが理由の1つです。なので、想像以上の反響ではありましたが、狙い通りの結果でもありました」

 さらに、音楽ジャンルも大きなポイントだったという。

「YouTubeは全体的にHIPHOPが伸びやすい傾向がありました。最近の『TFT』の中でも、梅田サイファー、Creepy NutsなどのHIPHOPアーティストが伸びる傾向があり、そういった関連動画の数字がとれるんじゃないかということが感覚としてありました」

親子で話題になるタイトルが人気

 ジャンル以外に“バズる曲”の傾向は?

お父さんも知っていて、お子さんも知っているような、家族のなかで話題になりやすいタイトルは全体的に数字が上がる傾向にあると思います。例えば、2020年に公開されたDefTech『My Way』は、2005年にリリースされた曲ですが、公開の少し前にTikTokでバズがありました。この曲は30~40歳くらいがちょうど世代なので、10代の学生などが知っていることにご家族は驚くと思いますが、そういう幅広い認知を持つヒット曲を出したときは話題になりやすいですね」

 また、“個”の力も大きい。

「例えば、DISH//の『猫』は、当初はサブスクなどのストリーミングの再生回数が2万5千回くらいだったんです。当時DISH//の担当者が、“あいみょん作詞作曲のすごくいい曲がある”という話をしていました。しかも、ストリーミングが伸び始めていることをデイリーで見て、これをやったら必ず届くと思っている人がいたからこそ、『TFT』では1億回以上の再生回数となりました。1人でもいいから、チームの中の“誰かに刺さっている曲”というのはヒットする曲の傾向としてあると思います。5月に公開されて1200万回以上再生されているCHEHONの『韻波句徒』もそうでした」