一方、母親は70歳まで水産会社で働いて退職。最近は自宅に植えた植物の世話をしたり、近所のお年寄りとコーヒーを一緒に飲んだりして悠々自適な生活を送っていたという。前出の近所の主婦によると、
「本当にしっかりした、几帳面な人。事件の10日前にはカレーをお裾分けしてくれましたよ。畑でとれたキュウリもときどきくれるし、優しい人です」
だが、めっきり耳が遠くなったという話も。
「みんなとなかなか会話できないようになってきたんです。それで近所付き合いもだんだんしなくなっていたし。加えて、近ごろは認知症の気配もあって……」(同・近所の住民、以下同)
こんな愚痴もこぼしていたという
「ときどき“長男(容疑者)が酒を飲むと喧嘩になる”と言っていましたよ。あの子もふだんは悪い人じゃないんだけど、酒が入るとね」
酒に酔った勢いで放った“暴言”か
事件のあった日も酒を飲んでいたのでは、と近所の主婦。
「お盆の最中だったし、きっと酒を飲んでいただろうね。それで母親とまた口論になって、ついあんなことを口走ってしまった。“お盆でお父さんも帰ってきているし、一緒に天国に連れていってもらおう”とか、思っちゃったんじゃないかな」
実は、容疑者の父親も70代半ばでみずから命を絶っていた。しかも、今回の事件現場となった同じ納屋で……。
容疑者が暴言を吐いてから、母親の死体を発見するまでの「空白の3時間」。酔い潰れた容疑者がふと寝た3時間のうちに母親が首を吊ってしまったのか−−。捜査関係者は「その辺りは今後、捜査して明らかにしていきたい」とのことだった。
静かな町で起きた悲しい事件だった。容疑者は警察の取り調べが続いているなか、母に言ってしまった暴言をしきりに後悔し、反省しているという。