裕美さんは彼に元カノとのやりとりを話した。すると「元カノにいろいろと迷惑をかけてしまった」と裕美さんの前で彼女への謝罪の言葉を口にしたのだ。彼のそんな様子をなぜだか「可愛い」と感じてしまった自分がいたという。
裕美さんが「もし結婚して子どもが生まれたら浮気をやめる?」と感情を抑えながらさりげなく聞いてみると「うん」とうなずいた彼。
「彼と結婚して浮気性を直すしかないと思いました。でも、彼からいつプロポーズされるかはわかりません。そこでできちゃった結婚を計画。こっそりと妊娠誘発剤を飲み、彼には安全日だと嘘をついて、ついに妊娠しました。30歳直前でした」
「男は浮気をするもの」が暗黙の了解
付き合ってから5年目。妊娠を告げると彼は「父親になるんだ」と感慨深そうな表情で「結婚しようか」とやっとプロポーズをしてくれた。裕美さんはこれまでの我慢や努力が報われた気がして、涙を流したという。
「結婚披露宴でも、喜びで泣いてしまった私を見て、事情を知っていた女友達たちは私に同情しながら、祝福をしてくれました。でも一部からは“これからまた大変だね”と心配する声も聞こえました」
そんな披露宴の席で夫の両親や親戚に挨拶したとき、裕美さんは漠然とした不安を感じた。夫の叔父さんや男性の従弟が夫と同じように女好きだということが親族の間で話題になっていたのだ。
「男は浮気するもの、という一族の暗黙の了解を感じて、ヒヤリとしました。でも夫は父親になったら、浮気をやめると約束してくれたんです。夫を信じよう、そう心に誓ったんです」
ところが夫は、いともあっさりと裕美さんを裏切ることに。しかも最悪な形となって裕美さんに災難が降りかかったのだ。
「子どもが生まれてから、夫はほとんど育児をサポートしてくれません。悩んだ末に私は会社を辞め、育児に専念。私が育児でへとへとになっているので“できるだけ早く帰って”とお願いしても“仕事なんだ、ごめん”と子どもの顔を少しなでてからすぐに寝てしまいます。
そんな中、ママ友の1人から、夫がほかの女性と食事しているのを見たとLINEが来たんです。育児には何も協力してくれない夫。しかも結婚前のように女の影がちらついて……。“やっと結婚できたのだから、我慢するしかない。妻は私なのよ”と自分自身に言い聞かせました」
だが、そんな思いにも限界が来る。ついに「あなたが浮気をしていることが私のママ友の間で噂になっている」と夫に告げた裕美さん。結婚してからわかったことは、夫が外面を気にすること。
だから噂になっていると言えば浮気をやめると思ったのだが─。