実はハードル低い打ち上げ花火
実は、打ち上げ花火は学校の運動場ほどの広さがあれば、十分実施できるという。ただ、一般的には学校で打ち上げ花火をするのは難しいと思われがちだ。
「仕事がなく時間があったので、小さな規模で花火大会をしたいと思っている人に向けて、動画を作成してYou Tubeにアップし、情報を発信しました。限られたスペースや予算内でも花火の打ち上げができることを知ってもらいたかったからです。
動画を見て安心されたのか、学校から依頼が来るようになり、花火仕事が入るようになりました」
学校での花火を実施した後、先生方から、「久しぶりに生徒の明るい顔を見ることができました」と喜びの声をもらったという。学校のイベントのほかにも、タレントの小規模なファンの集まりなどでも花火を打ち上げるなどしたことも。
「打ち上げ花火のいいところは、上を見上げるところ。コロナ禍で気分が沈みがちなときでも、“上を向こうじゃないか”という気持ちになれた人が多かったようで、私たちもうれしかったですね」
コロナ禍により当然、花火大会の開催決定が直前まで決まらないことも多かったという。
「通常、大きな花火大会の場合、1年前から開催日時が決まっていますが、今は、正式に開催が決定するのは約1か月前。しかも決まったとしても、感染者が増えたら中止、まん延防止等重点措置が発令されたら中止、などといった条件付きでした。
私が関わったところではありませんでしたが、開催1週間前に、突然花火大会の中止が決定したと嘆いている同業者もいました」
コロナ新規感染者が増え続け、第7波を迎えた今夏は、初めての「行動制限のない夏」でもあった。打ち上げ花火の現場では、どんな変化があったのか。
「今夏は、大きな花火大会を縮小して開催する工夫もみられました。私たちの地元・横浜で6月に開催された開港祭では、通常は大規模な花火を打ち上げます。でも今年は横浜市18区すべての地区に分散して花火を打ち上げることになりました。
医療従事者への感謝と、コロナ収束を願った疫病退散の思いを込めた花火です。打ち上げ花火の時間だけ告知して、打ち上げる場所はシークレット。横浜市民の方たちは、時間になると各家庭で家の外に出て、どこから打ち上がるかを楽しみにされたようです」