世の中を混乱させる情報「気楽に発信していいものではない」
ASKAはこの研究結果について、論文ではなく、それを取り上げている“ニュースサイト”を情報ソースとしているように見える。事実、ブログに貼られた画像はニュースサイトのものだ。
論文ではさらに4人のワクチン接種後の血液の写真を多数載せている。ガラスのように見える異物、粒状の異物、そしてチューブ状の異物が見える。
「論文の著者はむしろこっちを強調したいようですね。変な異物が見つかったと。ずいぶん前からいろんな人がファイザーやモデルナのワクチンの悪口を言うために“異物が入っている”と主張しているんですね。
しかし、この論文にある異物も、赤血球の変化と同様に人工的な操作の産物なのか、空気中のゴミなどではないかがわからない。こんなにハッキリ写っているのであれば、今はさまざまな分析方法があるのですから、それらの異物が何なのかをはっきりさせるべきです。
単なるゴミなのか、血液中で反応して生じたものなのか、あるいはワクチンに添加されていたものなのか、分析できるはずなのに一切やっていない。
この写真をそのまま信じるわけにはいきません。本当ならばメーカーに突きつけて分析させるべきで、どうしてそれをやらないのか。この論文は“フェイクニュース”に近いような気もします。同論文で紹介された4人には、ワクチン接種後に口の中の焼けるような痛み、呼吸困難など何らかの症状があったのだそうです。
しかし、赤血球の変化や血液中の異物は、1000人以上調べて、そのうち94%に起こっていたとも書いています。そんなことはありえないですよね。ワクチンを接種した1000人の大部分の人が体調が悪くて悶え苦しんでるなんて話はないですから」
また、論文自体に《血栓形成の前段階である異物》とは書かれていないという。
本件、論文自体ではない部分にも問題がある。
「ここまでお話した内容は専門性が高い話です。そのため専門的な知識をお持ちでない方が中途半端に解釈して、気楽に発信していい情報ではないと思います。今一番まずいのは、間違った情報あるいはフェイクニュースを本物だと信じて、伝播・拡散してしまう人がたくさんいて、世の中を混乱させていることです。
ワクチンの正当性も副作用も、専門家が正しく解釈して、正しい情報を世間に流すべきだと思います。いい加減な情報を出すこと、拡散することはやめましょうと強く言いたいですね」
SNSではコロナに限らずさまざまな情報が飛び交う。
「かなり信ぴょう性が乏しいものが目に付きます。意図的なフェイクニュースもあれば、論文を間違った解釈で拡散していたり。どんどん真実から離れてしまう。専門家でさえ意見が分かれる問題なのです。
サイエンスにおいて真実は1つのはずです。その真実を見極める混沌とした過程が今。だから意見が分かれるのもやむを得ないし、これも科学の歴史の1ページです。後に歴史が証明してくれる、それに期待するということですね」
政治アナリストの伊藤惇夫氏が以前テレビ番組で語った発言が今、ネットで“名言”と呼ばれ、広く使われている。
「数字は嘘をつかないが嘘つきは数字を使う」
ネット社会、SNS社会になって久しい。それが無かった時代と比較すると、触れる“情報”は何百倍にもなった。“嘘”や“デマ”もそのぶん増えただろう。いたずらに情報を信用したり、“粗雑”に解釈することは危険といえる。
『ラフ&ミュージック』。
笑いの「ラフ(laugh)」が、粗雑の「ラフ(rough)」であっては笑えない。11日に披露したように、彼は美しい「ミュージック」を持っているのに。