いったい次回の朝ドラに何が起きているのか。
要因に「働き方改革」
NHKの番組制作に詳しい芸能事務所関係者に話を聞くと、どうやらNHK局内の「働き方改革」が関係しているようだ。2013年にNHKの記者だった佐戸未和さん(当時31歳)が自宅で死亡し、その後の調査で長時間労働が原因だったことが判明。これを受けてNHKは躍起になって「働き方改革」を進めてきた。
「働き方にうるさくなる前は、局内で知り合いのディレクターなんかに会うと、『今日は僕を見なかったことにしておいて。休みを消化しないと上がうるさいんで、今日は局にいないことになってるんですよ』なんて言われることもあったんですが、いまはそういう『休んだふり』もできなくなったみたいです」(前出の芸能事務所関係者、以下同)
実際に、NHKが発行する社内誌『Network』の2019年のアンケートによると、「働き方改革の取り組みは進んでいるか」との質問に76%の人が「取り組みが進んでいる」と回答。2019年に働き方改革法が施行されたあとは、さらに厳格になっているようだ。
「朝ドラの制作現場も、昔は夜中まで収録して翌朝からまた撮影、なんてことが日常茶飯事だったのですが、いまは何かとチェックされますから。脚本家にも『働き方改革』が及んでいるのかもしれませんね」
『舞いあがれ!』のヒロインはパイロットを夢見て航空学校に入学するのだが、フライト訓練の様子や座学での授業における専門用語など、たしかに脚本の下調べに時間がかかるシーンも多い。
ましてや桑原氏はまだ経験の浅い脚本家だ。初の朝ドラは慣れないことも多いだろうし、なにより放送中の『ちむどんどん』の脚本がSNS上でなんて言われているのか、知らないはずがない。桑原氏がプレッシャーに押しつぶされそうになっているのは想像に難くない。
「『エール』のときのように制作陣と脚本家がもめているという話は聞こえてきていませんので、プレッシャーなどから過重労働になりがちな桑原氏の負担を軽くするために、手間のかかる週の脚本をピンチヒッターの2人が分担しているんじゃないかと思います」
ちなみに、桑原氏と一緒にピンチヒッターとして途中参加した佃良太氏は、次世代の脚本家を育てるためにNHKが開催している「創作テレビドラマ大賞」で大賞に選ばれ、去年初めて自分の作品がNHKでドラマ化された新人脚本家だ。
朝ドラ『舞いあがれ!』は、この2人の力を借りて無事に舞いあがることができるのか。注目の第1回放送まで1週間を切った。
NHK総合 月~土 8:00~8:15、12:45~13:00
(土曜は一週間の振り返りを放送)
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/chimudondon/