大学入試でも「親ガチャ」勝負に⁉
推薦入試や総合型選抜を突破するには、「高校入学直後からの準備が必要」と石渡さん。
「通常。大学側は高1から高3の1学期までの成績を見ますから、高校に合格したからといって浮かれてはいられません。日々の授業でめいっぱい勉強を頑張りつつ、さらに課外活動でも成果を出さないといけないわけです」
課外活動なんて本人に任せておけばいいし、親の出る幕はない……と昭和世代は思ってしまうが、それは間違い。実は、“課外活動を重視する選抜方式が増えると、裕福な家の子が有利になり、格差が広がる”という指摘があるそう。どういうこと?
「見栄えのいい経験は、お金で買えるからです。推薦や総合型選抜が主流のアメリカではすでにそういった動きがあり、社会貢献活動をさせてくれるプログラムを業者が販売していたりします。日本でもそういう入試対策を指導する専門の予備校があります」
つまり、裕福な家庭は親に高いお金を出してもらって社会貢献活動をし、難関大学に入学することができてしまい、よりお金のない家庭との格差が拡大する可能性があるのだ。
貧しくても、家で問題集をこつこつ解いて難関大学へ……という逆転ストーリーを狙うしかないのか?
「さらにいえば、中高一貫の進学校のほうが、一般入試でも推薦入試などでも有利な傾向があります。高校入試がないことで無駄のないカリキュラムを組めて、多くの一貫校が高2で高3までの教科書を習い終えます。高3で、大学の選抜方式に合わせた対策をする時間がたっぷりとれるわけです」
勉強だけでなく、中には中学時代からひとつのテーマについて研究させ、論文を書かせたりする「海外で社会貢献活動」といったプログラムを用意している学校も……!
当然、こうした中高一貫校に通わせるには、小学校からの塾通い、大学の選抜方式対策が整っている私立の場合は中学からの高い学費、さらには課外活動のための費用がかかってしまう。結局のところ、これも経済力のある親かどうかで人生が決まる「親ガチャ」問題ということ?
「ただ、日本ではアメリカほどは格差問題が出にくい環境にあります」と石渡さん。
「日本の場合、各学校の部活動が充実していて、しかもその活動内容を入試でも評価してもらえるという救いがあります。一部の難関大やスポーツ推薦などは別として、“強豪校でレギュラー”“全国大会に出場”といった結果よりは、“自分が部活動で何を学んだか”説明できることが求められる傾向にあります」
面接や作文対策で、大学で学びたいことの入門書や、関連する記事を読んでおくことも重要だそう。
「意外とこれができていない学生が多い。これらをクリアしておくと、学ぶ意欲が高いと加点評価される可能性が高いですよ」
中でも、石渡さんがおすすめしているのが、オープンキャンパスへの参加だ。
「私立大学を中心に、模擬面接や小論文講座を無料で実施していて、参加しておけば本番で役立ちます。面接に自信がない受験生は、教員や在学生による無料相談コーナーを利用するのもおすすめですよ。悩みの解決や大人と話す訓練になります」
このように方法はいくらでもある。受験生のみなさん、諦めないで!
大学ジャーナリスト。'03年より大学や教育問題、就職活動などの評論を発表。著書に『大学の学科図鑑』(SBクリエイティブ)など多数。
<取材・文/鷺島鈴香>