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ー 池谷幸雄、52歳からプロゴルファーを目指す
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ー 体操とゴルフの共通点「個人競技が向いているんでしょうね」

 

「プロを目指すことへの葛藤? ありませんでしたね。なんでも自分でやってみたいんです」

 そう語るのは、元体操選手で五輪メダリストの池谷幸雄。自身の52歳の誕生日である9月26日にYouTubeチャンネル『池谷幸雄 プロゴルファーへの道』を開設し、プロゴルファーを目指すことを宣言したのだ。

池谷幸雄、52歳からプロゴルファーを目指す

 なぜ今ゴルフなのか。本人に新たな挑戦への意気込みや、今の思いを聞いた。

「単刀直入に言うと、現役プレイヤーを続けられるからです。例えば僕がやっていた体操という競技は、現役選手として活動できる期間は短くて、30歳手前でほとんどの人が引退してしまいます。

 その点ゴルフは激しい動きもありませんから、年齢を重ねてもできるんです。僕の知り合いのおばあちゃんには、“このホールは休むわ”と休憩しながら、ウォーキングを兼ねてゴルフをしている方もいます。そういうふうに楽しめるのも、魅力の1つかなと」

 池谷は芸能界に入った22歳からゴルフを始めており、今年でプレー歴30年になる。実は、体操よりも長く続けているというのだ。

「昔はやる時間もなかったし、ゴルフばっかりやっていると“あいつ仕事してないな”と思われるかもって。だから当時は仕事以外では控えていました。でも、30代後半ぐらいから仕事にも慣れてきて、周りにも文句は言われないかなと思い、予定が空いていればゴルフをするように。年間100ラウンドぐらい行ってました」

「プロになりたい」と思い始めたのもそのころだったが、ゴルフで生活できるのはプロでもたったひと握り。現実的に厳しいと考え、二の足を踏んでいた。そんな後ろ向きな思いが変わったのは、新型コロナウイルスの影響だった。

「感染対策をしながら比較的安全にできるスポーツということで、ゴルフブームが到来したんです。アパレルメーカーも新しくゴルフウェアに参入したり、ゴルフ場や練習場もお客さんで溢れています。仕事やプライベートで新たにゴルフ関係の方と知り合って話しているうちに、やっぱりプロを目指そうと決心したんです」

 プロを目指すと決めてからは、練習内容も自然に変わった。

「ゴルフに対する打ち込み方にも、甘えがなくなりましたね。以前は“スコア70台を出したい”とか、そういうことを気にしていて。たまには出るんですが、それは偶然でした。

 でも、プロを目指すにはゼロからやり直すことが必要だと思いました。今はコーチについてもらって、スイングを1から変えたり、これまでは力でボールを飛ばしていたのを直しています。練習時間も増えて、毎日ゴルフボールを打つようにしていますし、家でも時間があれば短いクラブを振って練習しています」

 とはいえ、体操とゴルフでは根本的な身体の使い方が違うため、苦労することも多い。

「ゴルフのスイングは上半身と下半身をバラバラに動かすようなイメージですが、体操は身体を1本にそろえなければいけないので、真逆なんですよ。

 改めて意識すると体操の感覚が全然抜けなくて。プロを目指すにあたってクラブの持ち方から教わり直していますが、ものすごく僕には難しい。

 あと、体操は室内競技なのに対して、ゴルフは屋外競技。毎日気候も湿度も違えば、ゴルフ場によって環境は千差万別。ある意味ゴルフは、そういった自然との戦いが楽しいですし、大変でもあります」