整形はさせない。“ナチュラル イズ ベスト”という美学
ひと言で顔といっても、野田会長ならではのポリシーがあった。
「俺が気に入っていたのが“和顔”。日本風の顔なら、男にも女にも嫌われないだろうと思って。“和顔”の子はベッピンではないけど、だんだんと味が出てくる。初めはブスだなと思うこともあったけど、今まで育てた子たちはみんな愛嬌があった。ベッピンでなくても愛嬌があればそれだけで魅力的なんですよ。あと基本的に整形はさせない。“ナチュラル イズ ベスト”という美学が俺の中にはあるんです」
同様に写真の修正にも反対している。その分、撮影時に写りが良くなるよう、カメラマンと綿密に打ち合わせをするそうだ。
「完璧な身体をして、真っ白でシワのない女の子なんてこの世にいない。本人はコンプレックスに感じているような部分も、“そこがあなたの魅力だから”って説得します。あとよく俺が言ったのは、“股を開いてもニコーッとしとけよ”って。“逆に誘惑するような顔はするな。これだけは気をつけなさい”と。なぜなら、エロ全開だとアダルトには勝てないから。ただセクシーさだったら勝てる。そういう微妙な差にもこだわりましたね」
野田会長といえば面接時に胸を触るという半ば都市伝説じみた逸話があるが……。
「バストサイズの数字に騙されたことがあって、とある子が水着になったら、胸が大きいのではなく、筋肉で胸囲自体が大きかった。だからそれを確かめるために、両脇に手を入れるんです。それだけでブラジャーで盛ってるのか、本当に良い胸をしているのかがわかる。ただ面接のときにこれ見よがしに胸の大きさをアピールする子は落としてましたね。“俺にアピールしたってお金なんか出ないよ、見せびらかすのはギャラになるときにやりなさい”って」
この業界に携わること半世紀以上。野田氏は近年のグラビアタレントの意識や取り巻く環境について警鐘を鳴らす。
「SNSができてからは自宅で際どい写真を撮ってアップすればお金になる時代になったけど、邪道だと思う。そんなことをさせずに正当なグラビアをやっていきたい。それと今の時代はプラスアルファの技術が必要になってくる。“今はいい。でも1年もたたないうちに胸の大きさが邪魔するぞ”って、タレントたちに言ってるんです。胸ばかり注目されて、せっかくやりたいことがあっても、それに隠れちゃう。だから水着をやり始めて1年間は自分を磨かせる。喜んでグラビアをやるアホもいるけどね。あえて“アホ”って呼ぶのは、先のことを考えてないからだね」